産創館トピックス/講演録

≪講演録≫無印良品流 人の育て方と仕組みづくり

2016.03.02

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≪講演録≫2015年7月15日(水)開催
【トークライブ!】無印良品流・人の育て方 と 仕組みづくり
株式会社良品計画 名誉顧問 松井 忠三 氏

私は無印の会長を先月退任しました。西友で18年、西友から出向転籍をして良品計画で24年、42年のサラリーマン人生を完全に終わり、現在は、無印の名誉顧問として日本の流通サービスの仕事をお手伝いしながら、松井オフィスという会社を作って活動しています。

【会社概要】

最初に簡単に会社の概要をお話します。良品計画は1989年に会社ができておりますので、ちょうど25年経った会社です。「無印」というブランドは1980年に誕生致しました。ブランド誕生から34年という、比較的若い会社です。

社員は日本国内に6500名、海外に5500名、計1万2000名くらいで、そのうち海外はパートタイマーやアルバイトがいませんのでほとんど本社員です。売上は2月決算で約2600億円、経常利益266億円のボリュームの会社です。お店は世界に703店舗。

今時点ではもう少し多くなっていますが、ざっと言いますと、日本で400ちょっと、海外に300ちょっと、海外は25の国と地域で展開しています。ドメスティックな流通業ではありますが、海外展開規模はダイソーさんと並んで非常に多くの国でビジネスをしているのが特徴です。

コンセプトは「わけあって安い」―発想の原点は「モノしか見えないモノをつくる」

無印は1980年に西友から誕生しました。40アイテムでスタートしましたが、当時はいかにもスーパーの西友らしい商品が並んでいました。コンセプトは「わけあって安い」。百貨店のクオリティを七掛けで売りたいというのが基本的なコンセプトです。

会社が誕生した背景である1980年前後は、高度成長が終わって変化の時代でした。ナショナルブランドを売っていても、これからのお客さんの要請には応えられないという共通認識がそこにはありました。「プライベートブランドを作ろう」と言う流れが来たのです。

先行する各社は安かろう、悪かろうの域を脱しきれず、苦労の時代でしたが、私どもは安くはするが、品質は落としたくなかった。そこで、商品の素材の見直し、製造工程の点検、包装の簡略化を目標にしました。例えば製造工程で言うと漂白剤とか染色剤は一切入っていません。そしてシンプルで、機能性重視で、安く、個性があって、自然界にある素材と色を使う。発想の原点は「モノしか見えないモノをつくる」です。

私たちが属するセゾングループは堤清二オーナーのもとに出来上がったグループです。堤を取り巻くクリエイター、デザイナーも日本を代表する人たちでしたが、日本の禅とか茶道に非常に大きな影響を受けて、飾りをどんどん削った商品になっていきました。

その「モノしか見えないモノ」というのは創業以来現在でも続いています。

例えば「洗いざらしのシャツ」。綿で出来ていて白。糊も、アイロンもかかっていない。パッケージにも入っていない。ワイシャツの機能だけで勝負する。これが私達の大きな哲学であります。1980年当時誕生したブランドの中で唯一残っているのは無印だけ。コンセプトが非常に強いのが、大きな特徴です。

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株式会社良品計画

名誉顧問

松井 忠三氏

http://ryohin-keikaku.jp/

「無印良品」を中心とした専門店事業の運営/商品企画/開発/製造/卸しおよび販売