《講演録》正解のない時代を突破する「挑戦する経営チーム」のつくり方
《講演録》2020年10月2日(金)開催
【トークライブ!】正解のない時代を突破する「挑戦する経営チーム」のつくり方
柴田 昌治氏(株式会社スコラ・コンサルト プロセスデザイナー代表/創業者)
中小企業を取り巻く環境が急激に変化する今は、まさに“正解のない時代”である。そのような中でも、社内から活発にアイデアが生まれ、柔軟に対応している企業と、そうでない企業の違いはなにか?長年にわたり企業の風土改革に携わり、ベストセラー『なぜ会社は変われないのか』(日本経済新聞社)の著者でもある柴田昌治氏に、日本的経営チームビルディングについてお話いただいた。
♦「調整文化」が企業の風土改革を妨げる
風土改革はいわば成人病対策としての漢方薬のようなものですので、即効性は期待できません。効果が出るまでには時間がかかるうえに、特に大企業の場合には人事異動の影響も手伝って何年か経つと元の姿に戻ってしまいがちです。
この根本にあるのは日本の伝統に深く根差した「調整文化」です。
私は大学院で教育学を専攻しドイツに留学しました。ドイツでゼミに初めて出席したとき、教授は「なぜ君はここにいるのか」とみんなに聞いてきたのです。
「留学してきたから」ということではなく、「この講義をとることが自分の人生にとってどういう意味があるのか」、そういうことが常に問われているのだと気づかされました。
また、フランスのバカロレア(高校卒業資格試験)では白紙の用紙に自分の考えを記入していきます。一方、日本の学校教育は答えがあることを前提にしており、選択式が大半を占めるテストでは記憶力が試されているようなものです。
企業研修にしても日本では、講師は建前上答えを持っていることが大前提になっています。
このような予定調和を貫く「閉じる場」が日本では当たり前とされ、調整文化の中で組織の安定を担う大きな役割を果たしてきました。そして、行き過ぎた調整文化がもたらす問題の先送り・予定調和・前例踏襲が日本企業の風土改革を妨げてきました。
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