《講演録》1on1ミーティング〜部下と信頼関係を築き成長を支援する1対1のマネジメントとは[2]
《講演録》2019年8月21日(水) 開催
【セミナー】1on1ミーティング
~部下と信頼関係を築き成長を支援する1対1のマネジメントとは
世古 詞一氏(株式会社サーバントコーチ 代表取締役/株式会社VOYAGE GROUP フェロー)
昨今の企業を取り巻く環境のもとにわかに注目を浴びている「1on1ミーティング」。単なる1対1の面談ではなく、会社で働くことに意義を感じる社員を増やし、活気ある良い組織に変えていくために有効なマネジメント手法として日本企業が取り入れはじめています。1on1ミーティングの必要性から、具体的な実践法まで、組織人事コンサルタントの世古 詞一氏がレクチャーします。
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《講演録》1on1ミーティング〜部下と信頼関係を築き成長を支援する1対1のマネジメントとは[1]
▶1on1ミーティングの実践~信頼関係づくりステージ~
では、具体的にはどうやって1on1を実施していくのか。やみくもにミーティングをするのではなく、1on1の全体感を把握していくことが大切です。
第一段階は、「信頼関係づくりステージ」です。このステージでは、まずはプライベート相互理解を、次に心身の健康チェック、最後にモチベーションアップを行います。
プライベート相互理解に有効なのが雑談です。具体的には、まずは、業界トピックスでも社内の情報でもいいので、情報交換をしあって認識を擦り合せていきます。そうやって、お互いの共通認識が増えていくと、自然と相談をしやすくなります。
次に、部下に質問を投げかけることによって、内省を促します。(=コーチング)このような段階を踏んで、安心や信頼、成果、成長を感じられる場にしていく必要があります。理想的にすすまなかった場合であっても、最後の終わり方が大切です。ミーティングの終わりに、二人でこの場で何を得られたのか確認し合うのです。
確認の場を持つことによって、ミーティングの意味や意義が生まれてきます。何よりも一番大切なことは、1on1後に“部下の”エネルギーが高まっていることです。
よくあるのが部下ではなく、上司側のエネルギーだけが高まってしまっていること。それはつまり、上司ばかりが喋っていたということなのです。
人は、喋るとエネルギーが高まる。そのため、部下に「喋ってもらう」ことが大切です。そういう意味でも、上司は「コーチング」のスキルを学び続けることは大切だと思います。
「コーチング」的スキルとしては、インタビュアー的、中立的な役割に徹することです。まずは、部下をジャッジしようという評価者的視点ではなく、サポートする側のスタンスで問いかけるのです。
例えば、「この1ヶ月で一番うまくいったことってどんなことかな?」というような問い。すると、部下は「上司から査定される」という意識ではなく、ピュアな内省が起こり、成長や学習につながるのです。
また、相手に純粋に関心を持つ、友達的役割も身につけたいスタンスです。上からの関心ではなく、横からの関心です。すると、安心感や信頼感が生まれてきます。
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