≪講演録≫【イノベーションアカデミー】「これからの世界」で活躍できるリーダーとは
≪講演録≫2014年11月11日(火) 開催
【イノベーションアカデミー】「これからの世界」で活躍できるリーダーとは
株式会社コミュニカ代表取締役 元アップル・ジャパン代表取締役 山元賢治氏
「日本人」としてのアイデンティティを持つ
「世界で活躍できるのはどんな人か?」とよく質問を受けます。まずアイデンティティのない人は尊敬されません。自分が生まれ育ったところに誇りを持てない人は、世界では全く相手にされないのです。日本は本当に良い国です。良いものを食べられて、思いやりがあって、戦後、国を復活させた先輩方がいっぱいいます。社会のいたるところに上質な人間がいる、と誇れる国は日本しかありません。
私は毎年たくさんの学生と会います。若い人は毎日愚痴や会社の悪口を言う人の下では働きたくないものです。日本人はすぐ人のせいにするので愚痴を言う人が多いですが、リーダーにはやはり元気でいてほしい。皆さんには「この人と一緒に働きたい!」と思ってもらえる人になってもらいたい。
リーダーに必要なのは「覚悟」
35歳以降、私の上司はずっとアメリカ人です。Appleの社長というと格好良くきこえますが、出勤するのはだいたい毎朝5〜6時です。この時間帯に行けば西海岸が13時か14時、昼食後の状態です。そこに電話をかけていろいろな交渉事に臨むことができます。
私はApple退職後、COMMUNICA(コミュニカ)という会社を設立しました。日本人の弱点の一つであるコミュニケーションに関して伝えるべき事があるとの思いで社名をつけました。なりたい自分について明確なミッションを感じているリーダーを育成する。どうやって人を育てて組織を作っていくか。政治家でも社長でも、リーダーには「覚悟」が必要です。
当事者意識を持つ
私は“representative”という言葉をよく使います。当事者意識とか代表者という意味の単語です。日本ではよく「この仕事嫌なんだよなあ」とか「上司が勝手に取ってきた仕事だ」といった会話が聞こえてきます。あらゆる事に対して他人事になりがちなのが日本人の特徴の一つです。
ASEANの国を回っていたとき、日本の若者が日本の愚痴を言っていました。私は「君の発言はお客様から見れば君の会社の社長がしているのと同じ重みを持つんだよ」と言いました。「君を見て、大阪の人はこんな人だと他の都道府県の人は思う。君を見て、君の家族ってこんな人なんだなと思う。ただ歩いているだけでも君は何かの代表になっているのです」と。