≪講演録≫【イノベーションアカデミー】「これからの世界」で活躍できるリーダーとは
「会議で寝ればクビ」が世界の常識
日本の会社の会議では、だいたいえらい人が1人でしゃべっています。物を決めるのではなく情報をシェアする不思議な会議をしているのは日本だけ。アメリカの会議では、意見を言わない人がいたら、ほぼ確実にバカだとみなされます。意見のない人が会議に出るのは不思議なんです。
だから「ミーティングごっこ」はやらない方がいい。私は6人以上では会議しないと決めていました。6人以上になると日本人は意見を言わないと感じていたからです。
世界中の会議や、こうした講演会で寝ているのは日本人だけです。この驚異的な事実をそろそろシェアした方がいいと思います。世界で最も小さく、体力のない国民なのに徹夜が自慢で、電車でも、会議でも寝る。だけども寝不足。欧米では3日間のミーティングでも休憩時間を取らないケースも多いです。
そういうミーティングで寝ていたためにクビになった日本人を見てきました。社長会議に出ると私のお尻と太腿はアザだらけです。自分でつねりまくるから。そして私の机の前はガムだらけです。
それから世界では社長ほど勉強しています。Appleでは間違いなくスティーブ・ジョブズが一番勉強していました。みなさんの会社はどうでしょうか。
世界は変わり続ける
「the only constant is CHANGE(=変化することだけが真実)」。私の座右の銘です。今地球上に生きているものは進化し続けたものだけです。1秒たりとも同じ状態はありません。今年のラスベガスの家電ショーで一番目立ったのは韓国のTVです。だがアメリカでマーケットシェア1位はすでにサムスンではなくベンチャー企業です。
そういうスピードで世の中は変わるのです。しかも今は、多少のアイデアならすでにインターネットに出ています。みんな物真似になってしまうのです。しかも勝負は英語。1億2千万人ではなく70億人が相手。これが「これからの世界」です。
ベトナム人は日本人より数学が強く、英語を話せる人もいっぱいいます。この国が2030年までに日本の人口を超えます。そういう認識でアジアの国を見たことがありますか。ベトナムの全人口約8千万人以上の平均年齢は29歳台です。もっと働けば、もっと良い暮らしができると考えている。かつての日本がそうでした。地球上ではそういうサイクルで動いているのです。
日本の大学では、すでに就職活動をしている3回生や4回生でもどんな仕事をしたいか決まっている人は凄く少ない。そのまま会社に入ります。でも何がやりたいかが決まってないから辞めてします人も多くなっています。25歳で何をやりたいかがわからない人がたくさんいる珍しい国かもしれません。
スティーブ・ジョブズは2006年スタンフォード大学の講演会で言っています。「みなさん二十歳にもなればもう決まっているとは思うけれど、情熱を注げるようなことを探しなさい。大きな仕事をしたいのであれば。まだ見つかっていないなら一生かけて探しなさい」。
好奇心旺盛な人にしか世の中は変えられない
世界中のリーダーは、年齢に関係なく好奇心の塊です。当然スティーブ・ジョブズも“歩く好奇心”でした。私が世界で見て来たリーダーの共通点はこれだけです。いろんなところに好奇心を張り巡らさないとダメです。私の大好きなアインシュタインも「自分が人と違うのは好奇心だ」と。みなさんどうですか。好奇心、失ってないですか。
AppleはiPodで復活しました。身近なものを変えたい、もっと良くしたい、ちょっと便利にしたいという考え方で世の中は変わるのです。
一回の人生、何か人と違うってことをやりたい。要は「俺が世界を変える、俺しか変えられない」という“変な人”にしか世の中は変えられないんです。ピカソだってキング牧師だってジョン・レノンだってスティーブ・ジョブズだってみんなそうです。ぜひ大阪発で日本を変えてもらいたいと思います。