《講演録》1on1ミーティング〜部下と信頼関係を築き成長を支援する1対1のマネジメントとは[3]
《講演録》2019年8月21日(水) 開催
【セミナー】1on1ミーティング
~部下と信頼関係を築き成長を支援する1対1のマネジメントとは
世古 詞一氏(株式会社サーバントコーチ 代表取締役/株式会社VOYAGE GROUP フェロー)
昨今の企業を取り巻く環境のもとにわかに注目を浴びている「1on1ミーティング」。単なる1対1の面談ではなく、会社で働くことに意義を感じる社員を増やし、活気ある良い組織に変えていくために有効なマネジメント手法として日本企業が取り入れはじめています。1on1ミーティングの必要性から、具体的な実践法まで、組織人事コンサルタントの世古 詞一氏がレクチャーします。
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《講演録》1on1ミーティング〜部下と信頼関係を築き成長を支援する1対1のマネジメントとは[1]
《講演録》1on1ミーティング〜部下と信頼関係を築き成長を支援する1対1のマネジメントとは[2]
▶1on1ミーティングの実践~成長支援ステージ~
前項の「信頼関係をつくるステージ」の先にあるのが、「成長支援ステージ」です。
テーマは、業務・組織課題の改善、目標設定/評価、能力開発/キャリア支援、戦略・方針の伝達があります。
まず、業務・組織課題の改善のテーマでのポイントは「緊急ではなく重要な課題」について話をすることです。
部下本人が、現在の業務で力を入れていることや優先順位づけを聞いておくこと、どんな風に、どんな思いで、業務に取り組んでいるかまで普段から聞いておくようにすると、成果が出たときに一緒に喜べます。
次に、目標設定のテーマでのポイントは以下です。
【MUST】トップダウンで予算数字などしなければならない目標は、そうなった背景など具体的な説明をします。
【GET】目標を通して部下が得られることを一緒に考えます。目標に意味づけを行っていくのです。
【CAN】部下が目標を達成できるイメージができるまで、上司はリソース支援するなど一緒に考えます。いずれも、部下と一緒に考えていくことが大切です。
次に、能力開発のテーマでのポイントは、部下の業務におけるPDCAのサポートを行うことです。
仕事での人の成長寄与の割合は、経験によるものが7割も占めます。したがって、その経験を振り返り、次に生かすサポートをすることによって1つの経験を何倍もの意味あるものに導くことができるのです。
最後に、戦略/方針の伝達のテーマでのポイントは、逆ホウレンソウです。
通常、部下から上司に行われるホウレンソウ=報告、連絡、相談を、上司から部下に行う、ということです。上司だけが出席する会議の内容を、決定事項だけ伝えるのではなく、決定に至るまでの経緯、背景、臨場感を、上司から部下にきちんと伝えるのです。
そして、その内容がしっかりと伝わっているのかを部下に聞く。このような逆ホウレンソウを行うことは、自分の次のナンバー2を育てるための、大切なポイントにもなってきます。
▶「正しい」よりも、「楽しく」継続を
以上、1on1のすすめ方やポイントをお話ししてきました。いろいろ考えることはありますが、肩ひじを張って「正しく行おう」、「いい話しよう」と思わないでください。
まずは「楽しい」と思えることを行って、継続していってください。そうすると、きっと意義が生まれてくるはずです。
本日は、どうもありがとうございました。
(文/今中有紀)
世古 詞一氏(株式会社サーバントコーチ 代表取締役/株式会社VOYAGE GROUP フェロー)
大学卒業後、外資系生命保険会社にて、営業・投資教育に従事。その後、ITベンチャーである株式会社VOYAGE GROUPに創業期より参画。営業本部長、人事本部長、子会社役員を歴任。2008年に独立し、現在は人事アドバイザーとしてフェローを務める。「働きがいのある会社」(Great Place to WorkRInstitute Japan)に2015年から3年連続で中規模部門第1位となった礎を築く。株式会社サーバントコーチの社名の由来は、米国のロバート・グリーンリーフ博士が提唱する『サーバントリーダーシップ』(まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである)の概念から。社会人時代に自身が心掛け実践し、コーチの役割を実践していく上での自身のあり方にも一致する、過去から未来に向けたアイデンティティとしての共感から命名。コーチングやエニアグラム、NLP、EQ、マインドフルネスなど10以上の心理メソッドに通じ、個人の意識改革から組織全体の改革まで、クライアントの可能性を最大限に引き出し、日々の充実感を得ながら、目標を実現していくサポートを行っている。