《講演録》中小企業こそ<和>ノベーション!~日本型イノベーション創出力と生産性を高めるヒント

《講演録》2019年3月15日(金)開催
【ナレッジセミナー】中小企業こそ<和>ノベーション!
~日本型イノベーション創出力と生産性を高めるヒント

株式会社ローランドベルガー 代表取締役社長 長島 聡氏

欧州最大のコンサルティングファームであるローランドベルガー。同社日本法人の代表取締役社長である長島氏は、長年製造業を中心にコンサルティングを行ってきた知見から、日本の中小企業が生産性を高めるためには<和>ノベーションを実践すべきであると説く。<和>ノベーションとは何か?その内容と実践方法とはいかなるものか?5年、10年、20年先の将来について、先が見えないと悩む中小企業の経営者や経営幹部に向けて、実例を交えながら語った。

 
>>> 欧州のインダストリー4.0と、日本の低い労働生産性

2014年頃から、インダストリー4.0が日本でブームになりました。そもそもインダストリー4.0自体は2011年にドイツのメルケル首相が提唱したものです。インダストリー4.0の本質は「異次元の見える化」と「圧倒的な機動力」です。「異次元の見える化」とは、見える範囲をより広く、リアルタイムに見ましょう、ということです。

例えばこれまで製造ラインだけを見ていたものを、工場全体、さらには隣の工場、と視野を広げ、装置の動きや装置の中を通る製品の動きなどもリアルタイムで見ていくということです。

リアルタイムで見ることができるようになると、例えば今まで3ヵ月に一度確認していたデータを、1ヵ月ごとあるいは1日ごとといった単位で確認してPDCAを回すことができるようになります。また、「圧倒的な機動力」とは何か問題があったときに放置せずにすぐに対応する能力です。これによって効率化だけではなく、顧客に迅速に製品を届けるといった付加価値向上も実現できます。解決の手段は人手にこだわらず自動化やAIを活用します。

一方、日本企業の時間あたり労働生産性に目を向けてみると、欧米企業の約3分の2に留まっています。このような差が生まれる背景として、「目先の仕事に追われて創意工夫の時間がない」、「縦割り・タコつぼ化で日常に刺激がない」、「自前主義・他流試合不足」が挙げられますが、目先の自分の仕事をいかに効率よくやるか、といった保守的な方向に意識の舵が切られているためだと考えられます。

素形材産業を例にとると、経営状況を厳しくしている潮流が2つあります。1つは大企業や一次サプライヤーのものづくりが海外に流出していること。もう一つは、納入先より提示され図面通りにいかに作るかという下請けの世界観に追い込まれている、ということです。

約束通りに作らないと減点されるという発想になっていて、それぞれの企業が自社の持つユニークな価値を最終製品ユーザーに全く伝えられていない状況です。私もさまざまな中小の素形材産業の企業を訪ねますが、自社の価値をうまく見せて商売につなげているところとそうではないところではその差が大きいと感じています。

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2019年05月08日
株式会社ローランド・ベルガー
代表取締役社長  
長島 聡氏

今月の町工場で働くオトコマエ

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