《講演録》中小企業こそ<和>ノベーション!~日本型イノベーション創出力と生産性を高めるヒント
>>> <和>ノベーションを実践して稼ぐ力を向上させる!
<和>ノベーションを実践する行く上では、以下の4つのステップを進めていくことです必要があります。
[1. 新たな製品やサービスの構想]
どんなに小さなことでもよいので、顧客のお困りごとを見つけ、こんな風に解決したいという強い意思や主体的な考えを持つことが、<和>ノベーションの始まりです。
[2. 仲間を集めてつなぐ]
新たな製品の構想を持って、不完全であっても、未来志向で、想い・志を共にできる仲間(仲間企業)をつのります。身近なお隣さんでも、インターネットで見かけた面白そうな他の中小企業でも、実際に行ってしまうのです。
ローランドベルガーには、「刺激の半日」という制度があります。例えば、興味のあるベンチャー企業があれば、仕事を半日離れて実際に訪問しています。常識の違いから大抵の場合悔しい思いや恥ずかしい思いをすることになりますが、そのような経験は、多様性を理解するために避けては通れません。多様性を理解できることで初めて、互いの特技を組み合わせたイノベーションが生まれるのです。
また、顧客も仲間にしていくことも重要です。顧客に自社の構想を投げかけて、顧客からアドバイスを得られるような関係性を構築してのいくのです。
[3. 「ありもの」の見える化]
仲間企業の持つ「ありもの」は、お互いに活用しやすいように見える化し言語化します。このとき、専門用語は使わずに、相手に通じるように工夫した対話を重ねることが重要です。最近ではクラウドファンディングの浸透によって、アイディアはあるけれどものづくり経験はないといったベンチャー企業も増えてきています。そうした企業のやりたいことに一緒になって取り組めば、世の中に新たな価値を提供していくことができます。
[4. 組み合わせ・掛け算・足し算]
仲間が持つありものを自在に組み合わせると、多種多様なものを生み出すことができます。難しく聞こえるかもしれませんが、実際にこうした取り組みを実践している企業は数多くあります。例えば、フォルクスワーゲンです。同社の車の6割はモジュールと呼ばれるレゴブロックのようなありものの組み合わせで車を創り出しています。また、マクドナルドもビーフパテの倍増やトッピングといった組み合わせの変化でさまざまな商品を作っていることは皆さんもすでにお気づきではないでしょうか。
再び弊社の話で恐縮ですが、ローランドベルガーでは、中小企業やベンチャー企業を含む12社の仲間企業と協業しています。仲間企業が弊社のプロジェクトに参画してくれることで、私たちが顧客に提供する価値はより高まり、さらに価値提供スピードを加速しています。逆に、仲間企業の顧客に対する支援を私たちが手伝うこともあります。この仲間の輪ではローランドベルガーが中心にいるわけではなく、仲間企業同士がそれぞれ自由につながっていることが特徴です。
以上の4項目の実践を通じて新たな価値を実現していくことができます。初めて取り組む時には少し大変ですが、一度事例ができれば、以降は取り組むほどに楽しくなりますし、自社の見られ方も変わり、稼ぐ力がついてくると思います。
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