《講演録》『孫子の兵法』に学ぶ、戦わずして勝つ企業経営【後編】
≫新しい情報を仕入れてきてくれる「営業」は、現在の諜報
『孫子の兵法』では、現実に即した「情報」を大切にすることを説いています。
2500年前と言えば、戦略などを「占い」などの愚かな方法で決めていた時代。その時代に孫子は既に、情報の本質を理解し、合理的な考えを伝えていたのです。
情報は新しく正確なものを仕入れ、分析することが肝要です。現在では営業がその役目を担っていると思います。いわば現代の「間諜」ですね。
戦うためには「間諜」の情報が不可欠。「全軍を動かす戦」となれば、その情報が間違っていたら、敗北を期すことになり、亡国に繋がります。だから「優秀な間諜」が必要なのです。この点を理解している営業は、優秀な営業だと言えるでしょう。
優秀な営業は情報を得て分析し、「売れるところにいく」あるいは「売れない理由を聞いてくる」ことができます。できない営業は「ただ行くだけ」で、下手をすれば無理に売り込み、顧客から「二度と来るな!」と出入り禁止を食らうことにもなりかねません。
優秀な営業は売れなかったとしても「今回はどうしても他社になったけど、あなたには良くしてもらったから、今度は是非よろしくね」という信頼関係を築くことができます。
なお「優秀な営業」というと、非常にハイレベルな人材を想像するかも知れませんが、疑問を感じて発言する営業は、優秀です。
たとえば飲食関連のビジネスであれば「この料理の食べ残しの確率は高過ぎる。何か問題があるのでは?」など、感じたことを発信してくれれば良いのです。後はリーダーシップを発揮する、マネージャーの出番になります。
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株式会社NIコンサルティング
代表取締役
長尾 一洋氏
横浜市立大学商学部経営学科を卒業後、経営コンサルティング会社で営業指導、戦略策定、人事改革などを経験し、課長職を経て独立。1991年に㈱NIコンサルティングを設立し、中堅・中小企業の経営体質改善、営業力強化、人財育成などに取り組む。ITの活用にも積極的に取り組み、1998年から開発販売している「可視化経営システム」の導入企業は4800社を超える。2500年前から伝わる最強の兵法『孫子』の知恵を現代企業の経営に活かす孫子兵法家としても活動中。【ブログ】http://www.kazuhiro-nagao.com