地域のつながりを大切に、日本初のこどもホスピスを支援
2016年4月、鶴見緑地にオープンした「TSURUMI こどもホスピス」は、難病を持つ子どもと、その家族を支援する日本初のコミュニティ型の施設だ。運営は企業や個人からの寄付金でまかなわれている。
友栄食品興業は、同じ鶴見区に拠点のある企業として、寄付以外にも独自の支援活動を模索してきた。
本業はパンやお菓子に入れるクリームなどの製造。その技術を活かし、「子どもたちに普段はできない体験を」と自社職人をホスピスに派遣してパン教室を開催した。
コック姿に着替えて生地作りから丁寧に指導し、集まった4家族と共にキャラクターや動物型のパンを作り上げた。「『パン職人になるねん』と言ってくれた子もいて、私たちにとっても嬉しい体験になりました」と冨井氏。
あるラジオ局のイベントでは、大勢の人が集まる機会を利用してホスピスの認知度向上のためにPR活動を行った。施設のロゴをモチーフにした回転焼を販売し、売上げを全額寄付。
回転焼の機械は取引先に貸してもらい、焼き方を教わった社員やホスピススタッフ、高校生のボランティアメンバーで700個を売り切ったという。
ホスピスが公式寄付先団体になった大阪マラソンでは、チャリティランナー全員に当日の軽食としてクリームパンを提供。「子どもたちやご家族から頼りにされている貴重な施設。これからも応援していきたいです」。
イベントに積極的な社風は以前から。社員の平均年齢が34歳と若く、新プロジェクトは社内横断でメンバーを募集する。社長や専務はアイデアや方向性を伝え、実際の動きは社員に任せる。
「それぞれの部門長が把握しているから、準備やミーティングにもきちんと時間が取れる。参加メンバー以外も他人事にはならないですね」。
そう話すのは企画課の天野氏。区役所や地元高校と一緒に鶴見区の名物パンを生み出すなど、地域貢献活動にはスタート当初から参加してきた。
「社員がイキイキしているのがいい会社だと思うんです。顧客満足に加えて社員満足も大事」。一人ひとりが本業以外にも自主的に全力投球する。そこで得られた手応えや人間関係が、日々の業務にも好循環を生み出しているようだ。
(取材・文/衛藤真奈実)
今回、友栄食品興業株式会社が選ばれた【ええやん!プロジェクト】とは・・・
大阪産業創造館では、「ええやん!プロジェクト」と題し、人事制度や働き方改革、地域貢献、異業種連携などの取組みを中小企業から募集しました。
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=25106
31の応募の中から「今後の展開の可能性」「社会的意義」「ユニークさ」から審査を行い、5社に取材し掲載しています。
↓↓↓今回取材した5社の取組みはコチラから↓↓↓(順次公開)
https://bplatz.sansokan.jp/archives/category/eeyan