Bplatz press

ダウン症の女性が描いた絵をカバンに

2018.03.29

ピンク、水色、黄色などカラフルなペンで画用紙いっぱいに描かれた図柄をそのままデザインに生かしたカバンのブランドが2016年10月に誕生した。絵の作者は、ダウン症の西村有加さん。

「彼女が毎日集中して描いている絵を見て感動し、多くの人に見てもらいたいと思った」と池田氏。トートバッグなど50種類以上のアイテムとして商品化され、主に百貨店の催事などで販売している。

同社は、国内外の協力業者と連携してカバンや袋物を生産しており、95%をスポーツ用品、インテリア雑貨、文具メーカーなどのOEMが占める。6年前からは滋賀県野洲市に自社縫製工場を設けてメーカー機能も備え、メイドインジャパンのものづくりで差別化を図っている。

「自分たちが作りたいと思う商品を手がけたい」との思いはかねてより持っていた。「やる以上は社会に役立つことを」と考え、廃棄されている消防用ホースの生地を使った頑丈でカラフルなカバンを7年前に商品化。

規格外品となり産業廃棄物として大量に捨てられている消防用ホースをリユースし、鞄や雑貨に生まれ変わった「らうらうじ」-secondhose-シリーズ。

東日本大震災の時には、農業を糧にしていた福島県内の障がい者作業所が原発事故の影響でたちゆかなくなっていることを知った。そこで、木製ボタンの生産を委託し、カバン装飾用の小物として買い上げている。

東日本大震災の被災地である福島県下の作業所が中心に作った、木製の手作りボタンを使用したカバンやポーチ、manga knapp-モンガ・クナップ-シリーズ。

以来多くの作業所から“自立”に向けた事業の可能性についてアドバイスを求められる機会が増える中、西村さんと出会った。当初はクラウドファンディングで集まった資金をもとに商品化し、反響を呼んだ。

西村有加さんと作品

ただその後の販売については「身内に障がいがある方などの“同情票”に頼っているのが実状」と述べる。商品力そのもので勝負をしたいと考える池田氏は、図柄に描かれた「妖精」を抜き出してキャラクター化するなどブランド化に向けた仕掛けを考えているところだ。

図柄に描かれた「妖精」を抜き出してキャラクター化した。

「周りの経営者仲間には障がい者の力になりたいと考える人が多い。一方で障がい者や作業所も自立を求めている。だからこそボランティアに終わらせず、事業として道筋をつけるモデルをしっかり確立していきたい」と挑戦を続けている。

代表取締役 池田 智幸氏

(取材・文/山口裕史)

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サンワード株式会社

代表取締役

池田 智幸氏

http://www.sunward-beban.co.jp

事業内容/かばん、雑貨の製造・販売