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命と向き合い、たどり着いた経営者の道

高校2年時に腎臓病を患い、1年8ヶ月に及ぶ入院生活を余儀なくされた。友だちは進路を次々と決めていく一方、自身はめざしていた客室乗務員の夢を諦めざるを得なかった。

「先が見えず、足元だけを見つめて生きる日々が辛くて、心がポキッと折れてしまった」と当時を振り返る。

満足に通えぬまま高校を中退後、父が経営する竹細工の工房を手伝い始めた。何となく日々を過ごしていたある日、「竹の皮をはいで放置したのでカビが生えてしまった」という職人のひと言で閃いた。「竹の皮に抗菌作用があるのでは」―そう考えると、いてもたってもいられない。

「今も昔も目的を見つけ、全力疾走するタイプ」と自認する岡田氏は自宅の台所で自己流の実験を開始。見よう見まねで竹の皮をアルコールに漬けて成分を抽出し、むきエビに塗ってみると、想定通り抗菌作用が認められた。

竹を原料とした成分「モウソウチク抽出物」は、幅広いウイルス・細菌に効果があるだけでなく、効果の持続性も認められている。

「自然素材の成分で抗菌剤をつくれば、アレルギーの子どもたちを救えるかもしれない」。入院時、化学物質アレルギーに苦しむ子どもの姿に心を痛めていた同氏はそう直感し、主治医に相談。「すると興味を持っていただき、その分野に詳しい北里大学の教授を紹介してもらうことになったのです」。

以降、大学の共同研究に発展し、ユニークな研究テーマが評価されて学会で発表するまでに。気づけば新たな目的を持ち、再び全力で走り始めていた。

規制対象となる成分が含まれているという課題を克服、世界一厳しいマレーシアのハラール認証を取得した。

起業のきっかけは、大手2社からの引き合いだ。大学との共同研究で抽出に成功していた竹の抗菌成分を、ダスターや食品添加物に使いたいと依頼が入ったのだ。

2社との共同開発はいずれも順調に進んだが、商品化が決まれば大手の生産ラインに乗せなければならない。そこで2002年に株式会社タケックス・ラボを設立し、供給体制を確立。

「さらに製薬会社に生産委託することで品質管理や大量生産の課題を克服すると共に、著名なベンチャーキャピタルから出資を受けて企業としての信用力を高めていきました」。

ハラル認証証書授与式にて。2017年にマレーシアに現地法人を設立、2018年から本格的にハラール市場に参入する。

周到な経営戦略が奏功して事業は軌道に乗り、現在は竹を原料とした抗菌剤や食品添加物など約20種類の商品を手がけるほか、建築資材の研究開発、コンサルティング事業まで業容を拡大している。

「竹は3年で成長が完了する循環性資源です。竹の研究を通して地球環境保全、そして世界中の人びとの健康に貢献するのが当社の使命」と力を込める。

腎臓病を発症したとき、医師から「成人式まで持たない」と言われた。「だからこそ時間を無駄にしたくない、そう思って走り続けてきました」。その結果辿り着いた経営者の道。

「計画を立て、本気で挑み、諦めない」。目的を達成するための秘訣として同氏が語ったこの言葉は、経営者を志す女性に向けたエールともいえるだろう。

代表取締役 岡田 久幸(くみ)氏

(取材・文/高橋武男 写真/福永浩二)

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2017年09月29日
株式会社タケックス・ラボ
代表取締役社長  
岡田 久幸(くみ)氏
事業内容/竹を原料とした抗菌剤などの研究開発及び製造
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