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「大人目線」でつくる子ども服ブランド SPAで全国展開

2012.05.10

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 2年前に「BABYDOLL」の大ブームが起きたとき、大手ショッピングモールに地響きがおきたという。開店と同時に数百人の客が店舗に殺到したためだ。「あのブームは異常。会社の実力以上に売れすぎて大変な目に遭った」と髙林社長は振り返る。ベビー・キッズを中心としたファミリー衣料ブランド。商品の企画から生産、販売まで一気通貫で行うSPA(製造小売業)としての強みを活かし、新商品を毎週投入するなど顧客の反響やニーズに応じたスピード対応を行う。同ブランドを展開するショップは全国に91店舗(2012年4月9日現在)。店舗名の「STARVATIONS」 (失敗すれば食べ物がなくて餓える)には、やるからには絶対に勝ち抜いて行こうという同社の強い決意が込められている。

 しかし、なぜ「BABYDOLL」はそこまで人気を集めるのだろうか。大人向けのTシャツメーカーとして1985年に創業した同社。30色・300デザイン・3サイズ、27,000種類ものパターンで、受注から1週間以内に納品する戦略で若い世代に大きな支持を得た。この独自の流通モデルとノウハウをベースに、2003年に誕生したのが「BABYDOLL」なのだ。

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 同社が子ども服に参入した理由は、「子ども服は淡いイメージで印象に残らない。そこに隙間があると思った」から。Tシャツで築いたデザインコンセプトと流通モデルを踏襲し、ベビー・キッズ衣料の常識や既成概念を覆すカラフルな色使いと豊富なサイズ展開ラインナップ。同業他社は〝子ども目線〟で商品開発を行うが、同社はあくまで〝大人目線〟。子どもに受け入れられるかどうかより、「大人が見てかわいいか、ワクワクするか」が基準だ。この逆転発想が強い商品力につながっている。

 店頭での接客も重視し、自然なコミュニケーションの中で会員登録を勧めるなど、ファンづくりにも余念がない。「今後は撮影会などのキッズイベントも充実させ、ファンづくりにつなげていきたい」と意欲的だ。

 2年前のブームの際、商品の生産がパンクしたり、店頭でのクレームが頻発する事態に陥った。「売れすぎると現場が慢心し、普通の努力ができなくなる。売上げ重視でなく、利益重視に切り替えた」と同氏。店長には損益計算書の読み方を教え、現場では経費削減を徹底。強い商品力と強い経営体質で、さらなる店舗展開をめざす。

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▲全国の店長が集まる店長会議の様子。社員によるパフォーマンスイベントも。店頭での接客を重視する同社では、現場で働くスタッフのモチベーションを高めるための工夫にも余念がない。

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▲社員研修などを行う本社内のシミュレーションルーム。実際の店舗を模した空間で、陳列の仕方を学んだり、接客のロールプレイングなどを行う。

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▲「大人目線」で子ども服を追求する商品企画の皆さん。子どもと同デザインの大人サイズ服が男子高校生の間でブームになったことも。

株式会社コージィコーポレーション

代表取締役

髙林 更次氏

http://www.cozycorporation.jp/