「ゴルフのすそ野を広げたい」 ロードサイド出店戦略で全国展開
つるやが創業した1966年当時は、ゴルフは富裕層など一部の人が興じる時代だった。「しかしゴルフは老若男女が健康的に楽しめるスポーツ。誰もが気軽にプレーできる環境づくりをめざし、低価格のゴルフ専門店を開いたのが当社の始まりです」と取締役の中島氏は語る。
創業当時はゴルフ好きな人が輸入品を扱う小さな専門店がほとんどで大規模店は少なかった時代。その中で先陣を切ったつるやは、経済成長に伴うゴルフ人口の増加で創業3年目には早くも多店舗化を推進するようになった。出店計画のキーワードは人口規模。当初はビジネス街の出店が中心だったが、車社会の発展と歩調を合わせ、ここ数年では20万人を基準に商圏を絞り込み、幹線道路沿いへの出店を加速している。この戦略が奏功し、日本全国にチェーン展開するゴルフショップに成長する。
現在120店舗を展開する同社。売上低迷で店舗を閉鎖することは少なく、「店舗規模を拡大するためのスクラップ&ビルドを重視している」という。古い店舗は60~80坪と小規模店が多く、増え続ける商品を扱いきれない。そこで120坪程度に拡大し、リニュアルオープンしているのだ。「今後は300坪程度の大規模店も増やし、店舗の一角にレッスン設備を導入していく」と語るように、ゴルフ用品の製造・販売からゴルフ場・練習場・レッスン施設の運営、トーナメントの開催に至るまで、ゴルフを軸に業態を拡げている点が最大の強みだろう。
同社はゴルフ専門店でありながらメーカーでもある。設立時の思いでもある「誰でも気軽にゴルフを始められる」ように、低価格帯での自社ブランドをスタート。クラブをはじめ、ウェア、キャディバッグなど4ブランドを展開する。今後の課題は「商品を安く提供できるショップイメージと高いブランド力の両立」。「自社ブランドも強い」つるやをめざし、ブランドの確立をめざし
▲日本最大級の売り場面積を誇る、つるやゴルフショップ大阪本店。売場づくりのポイントは"見やすく、手に取りやすく"。そのために什器や照明などにこだわり、きれいな売り場をつくることで顧客の購買意識を刺激する。
▲多店舗展開を進める中で接客に力を入れている。「商売成功の秘訣は価格、品揃え、接客の3つだと考えています。この中でも人のサービスに限界はありません。だから挨拶を中心に社員研修を充実させ、明るく元気のよい接客を徹底しています」と中島取締役。
▲本店4階の「レディスフロア」は、近隣で働くOLや子育てが落ち着いた主婦層に人気。
▲1999年にレッスン施設「つるやサイエンスゴルフ倶楽部」を開設。また、「つるやゴルフスクール」を全国に8ヵ所経営。2005年にはゴルフ練習場「つるやゴルフセンター」を2場、現在では4場を経営。2011年には「つるやカントリークラブ西宮北コース」をオープン。この他にもジュニア育成のため、ジュニア大会への協賛など、業態開発にも力を入れる。