足を使った地道な営業で全国に販路を開拓 積極的なコラボ展開で新たな顧客層にアプローチ
クラゲのシルエットを連想させるヘッドホンに、蛇口をイメージさせるスマートフォン用スタンド。コンピュータ周辺機器メーカーのエレコムは、世界で活躍するデザイン会社「nendo」とユニークなコラボ商品を開発し、全国展開を図っている。
すでに大手家電量販店やPC専門店などを中心に日本全国に販売チャネルを確立している同社。「現在は海外展開を強化しており、デザインを切り口にした商品開発を模索していたところ、世界に名の知れたnendoさんとのコラボレーションが実現しました」と商品開発部の福良課長は説明する。2010年から約1年かけて共同開発を進め、2011年からコラボ商品の販売を開始。東京・有楽町のロフトで棚展開されるなど、全国の雑貨店を中心に現在も発売中だ。
2006年にはインテリア雑貨専門店「Francfranc」、2009年にはストリートファッション情報誌「Samurai magazine」とのコラボがそれぞれ実現。「こうした協業を通じて、新たな顧客層にエレコムブランドを訴求するのが狙いです」。
家電量販店を販路とするOA家具メーカーとして1986年に創業し、PCラックの販売からスタートした同社。「足を使った地道な営業」で販路を開拓し、取扱いアイテムもマウスやメモリなどPCアクセサリからハードウェアまで拡大していった。
全国展開する企業としては意外だが、広告は基本的に打たないという。「代わりに日本全国に支店を設け、自社の営業スタッフが販売店を訪問し、店頭スペースの演出提案に力を入れている」と同氏。だから広告を見てエレコムを知るというより、店頭でずらりと並ぶ商品からエレコムを知るケースが多いという。
全国の大手販売店はほぼ網羅している。今後は海外展開の強化に加え、約8,000アイテムある商品群をさらに充実させていく考え。以前、チョコレートをモチーフにした女性向けの体重計を開発したところ、家電量販店以外にライフスタイルショップでもヒットを記録した。つまり新たなカテゴリの商品を開発することで既存店での売り場面積拡大につながり、新たな顧客層を開拓できるのだ。
日本市場を開拓したように足を使った営業で世界に漕ぎ出し、世界のエレコムとして飛躍する日を期待したい。
▲PCラックの販売から始まったエレコムの全国展開。「東京の窓のない地下のオフィスからスタート」し、全国の販売店に地道な営業を仕掛けることで販路を拡大していった。
▲チョコレートをモチーフにした女性向けデジタル体重体組成計。
▲女性が使いやすい充電器と充電式電池。
▲新しく登場した照明器具ブランド“”シリーズ第3弾、学習机など勉強用途に適した明るさを実現する「LEDデスクライト」。