起業家精神が日本を変える ~世界で勝つ経営戦略を創り出せ!~

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【第三部】

成熟産業でもイノベーションは起こせる

質問 ペット向けのビジネスをしているのですが、競合がすごく多い中で、圧倒的な優位性をどう作ったらいいのか悩んでいます。

徳重 競合を徹底的に調べて、市場を調べて差別化ですよね。例えば、神戸でやっているのであれば神戸の中でナンバーワンになるのか、もしくは富裕層に特化した人だったら大体こういう犬を持っていて、こういう犬だったらこういうエサの方がより高級犬にマッチすると。要はどういう軸でもいいんですが、自分が強いところのセグメンテーションを徹底的にやりますね。

本田 マーケットをセグメントかけていきながら、自分の圧倒的な優位性みたいなところを、つまり分母の数を1億何千万人にするんじゃなくて、もっと絞り込んでいく。地域を絞り込んでいく。いろんな囲い込みで分母を減らしていく中での優位性やね。加藤さん何かある。

加藤 ペットフード産業は完全な成熟産業で、これから新規で始めるのにせーのでやっても勝てないですよ。でもその成熟産業の中でどうやって勝つか考えないといけない。例えば英会話の産業って3000億円市場なんです。もう120年の歴史があって完全な成熟産業です。でこれ以上日本では英会話産業は伸びません。でもラングリッチという会社はまだできて2年ですけども、むちゃくちゃ伸びています。むちゃくちゃってのは昨年対比で数倍です。なぜかとういうと値段が極端に安いんですね。だいたいマンツーマンで英語の先生から1時間学ぼうと思うと6000円から7000円です。ところがラングリッチは30分で150円です。先生はフィリピンのセブにおってスカイプを使って教えるんです。そうするとイノベーションが起こる。成熟産業だからイノベーションはないのかなぁとか、新規産業じゃないとイノベーションは起こせないとかあるんですけど、僕は世の中に全く存在してない産業なんてないと思っています。それよりも大事なのは、新規産業でも成熟産業でもむちゃくちゃ伸びるシナリオであれば人も金も集まってきます。普通のことやったらアカンということです。

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0から1にするパッションを持て

質問 だんだん仕事が軌道にのってくると、仕事を取りに行ってたのが、「もらえる」という感覚になってきます。お二人はどのくらいのタイミングで変化がありましたか。

徳重 僕らはまだ2年と9ヵ月なんで、まだ創業期ですけど、圧倒的に仕事取りに行くってことですね。今の日本では、新しい営業先のとこに行っても「実績はどうなんですか」と言われます。電気バイクは家電量販店でも売ってますが、店の人に何を言われるかっていうと、「あんたんとこメンテナンスの機能も持ってるんですか」と言われるんですね。じゃあ「それをメンテナンス屋に持って行ってもらえるようにしてくれませんか」と言うと、「どれだけ売れてるんですか」と聞いてくる。僕は新しいことって全てチキン&エッグだと思ってるんです。どっちもその通りで、グリグリっと一回転するその力、エネルギーはロジックじゃないんですね。それはもうパッションと言うか、気持ちとか気合いとか「お前が好きだから」みたいな世界で押し通すしかない。

その中で僕の一番好きなストーリーは、日本電産の永守さんが書いた『人を生かすか』って本があります。その中に面白い話がありましてね。日本電産って元々小型モーターから始めて、ものは良かったんですけど、日本国内では実績だ実績だっていうから、誰も取り扱ってくれない。それでアメリカに持っていったら、結構ものがいいから、大企業から評価された。それでどんな工場なのかと見に来る。ところが京都の工場はオンボロ倉庫なんです。だから、皆びっくりして帰るわけです。「こんなところとは契約できない」と。それが10回くらい続いた。で、永守さんは次に大手の企業が来た時、いかにボロ倉庫を見せずに済ませるかを考えて、京都で飲ませ、食わせ、芸者で遊ばせて、もうベロンベロンで二日酔いになって次の日動けないようにして、工場を見ないでそのまま帰らせちゃったんです。だけどハッピーになったしモノもいいからサインしちゃおうって、契約してくれた。そのサインを持って銀行に行ってお金を借りて、立派な工場にした。そこから回っていったんですよね。

ベンチャーって基本的に全部そうだと思ってます。そこの最初のチキン&エッグのグリグリ感をどうやって乗り越えていくのかが非常にポイントで、だから0から1にするところが大変なんです。1から100というのは工場ができたらできるんです。気合いがあれば、っていうのが大事なところだと思います。その感覚は新しい事業を始める人全てに大事なことじゃないかと思う。そこはもうロジックではないですよね。

伸びている産業にぶら下がれ

加藤 どんなベンチャーも最初は実績がないんです。それで最初仕事をとるのは大変なんですけど、一番簡単な方法は伸びている産業をやることです。伸びてる産業は結局供給が足りないので、需要者が供給会社を探すんですね。これできる会社ないかと思って。そうすると、脇が甘くなるんです。ベンチャーでも「できる」って言い切ったところに発注が来ます。僕がなんで雑誌からインターネット広告に移ったかと言うと、需要が爆発して供給がなかったからです。だからそっちに行けば絶対にインターネット広告出したい人がいっぱいいると。そこで重要なのはこっちから営業に行くんじゃなくて、向こうから来ることですよね。どんな商売でも鉄則ですけど。そのためにはどうすればいいかと言うと、伸びてる産業にぶら下がることです。

さっきのペットフードの話でもそうです。皆が供給してるところで同じように供給していても自分ところは選ばれません。逆に海外からでもいいから、とにかく自分の犬のために療養食を買いたいっていう人は今選択肢がないわけです。動物病院行ったらものすごい高い値段で買わされるし、しかも、ドックフードってめっちゃくちゃ重たいんです。だから結局持って帰れない。通販で買えるんやったら、海外からでも家に届くんやったら訳わからんけど買おうってことになる。つまり、実績のないベンチャーであればあるほど、需要がたくさんある商売に軸足を移しなさいってことですね。そうすれば、実績は後からついてくる。供給側があんまりおらん商売は仕事になりやすいです。

本田 徳重さんは、シリコンバレーに多いのは起業家精神を持ちながら同時に戦略的思考もできる人だと言っていました。その中で、それこそパッションとしてめちゃくちゃこれ今オモロイねん、はよやりたいねん、ていう話は何かありますか。

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リスクを取って成功する具体例を見せたい

徳重 今の事業がまさにそうですね。僕はこの状況に簡単に来たのではなく、30歳でアメリカに行って、それも行きたいMBAに行けずに、スタンフォードもバークレーも落ちて、しょうがないからアリゾナのMBAに行くんですけど。シリコンバレーに行くために0にしたわけで、格好が悪過ぎるわけです。それでリベンジでなんとか残ってと。それで今43歳ですけれども8年、9年くらいは色々のた打ち回りながら、加藤さんみたいにインキュベーションみたいにやってたんです。僕は自分で事業会社やりたかったから、日本の技術を世界に、と。で、メガベンチャーでやる、世界にイノベーションを起こすぞ、というのがずっと僕の思いだったわけです。それで今すぐテラモーターズでEVやってた訳じゃなくて、長い蓄積がある訳ですよね。それを今やれているので、めちゃくちゃ面白いことではあります。

シリコンバレーってワクワク感がありますよね。高揚感というか、ひとことで言うとシリコンバレーの場合は超優秀なやつがやってるんです。頭もむちゃくちゃいいし、アグレッシブだから、たち悪い訳ですよね(笑)。コンペティターとしては。それが僕のベンチマークなんです。一方で日本を見ているとなんかみんな閉塞感に陥ってますよね。一人ひとりの個人でいうと日本人は優秀なんですよ。うちの社員も決して世界で勝負できない人間ではなくて、やれるわけで。だから我々ベンチャー企業が、まさに今の日本の社会の課題に対してソリューションを出す。

僕は野球が好きだったから、野茂を尊敬しているんですけど。野茂が成功したから、今のイチローがあるし松井があったと思うんです。野茂がやってなかったら多分ないですよ。つまり彼がリスクとって0を1にしたわけです。それを、僕達は今やれる立場にあると思ってる。世界の事例見たらいろんな成功事例があるんですよね。例えば、今、日本の大手が苦しんでいる家電市場。そのテレビの市場で、2005年にできたベンチャー企業で社員が198人の会社がトップシェアです。もし日本で起こってたら、それこそちゃぶ台ひっくり返したように市場は大きく変わるんじゃないかと。それが今アメリカで起こってるんです。ビジオっていう会社ですが、水平分業が成せる業なんです。台湾のホックスコーンっていうシャープを買収しようとしてた10兆円企業なんですけど。このホックスコーンに1990年8月に投資した個人投資家の人に会って話を聞いたら、1990年の8月で売上はまだ25億円だったのが今10兆円。それだけじゃなくて台湾にはそういう水平分業で大きくなっている会社が8つくらいあるんです。トレンドで儲けてる。さっき加藤さんが言った圧倒的に成長するっていうところに軸足を移して成功した。ところが日本はずっと変わってないわけですよ。大企業のやり方やってるから。だから僕はこのスピード感はベンチャーじゃないと無理だと思っていて、それを僕たちがやりたい。

本田 その日本の中でベンチャーで勝負すると?。

徳重 僕の場合はもうシリコンバレーは全然関係無くて、東京の渋谷本社で会社登記があって、拠点は今ベトナムとフィリピンにあります。電動バイクの市場なんで基本的には東南アジアプラスインドみたいな感じです。

本田 フィリピンのEVトラクシクルタクシー。フロムジャパンと書いてますね。

徳重 中国はわかりませんが、東南アジアと台湾は日本のブランドが凄いんです。日本の企業、日本人、日本の製品に対する信頼、つまりベンチャー企業であっても関係ないんです。ただ日本の企業の弱点はスピード感とか意思決定力なんです。そんな中に僕なんかが直接行って直接英語で話すと、めちゃくちゃ好かれちゃうんです。設立2年とか、従業員が少ないとかっていうのは関係無くて、日本の会社、日本で実績あります、起業家精神あります、の3つで、台湾の東芝みたいな会社とか、フィリピンの東京電力みたいな会社とイコールパートナーシップでできちゃうんです。それは日本の会社だからなんです。それは日本の戦時中の人に感謝しないといけないし、もっとみなさんもできるでしょうと思うわけです。技術がある会社はいくらでもあるのに、勝手に縮こまってダメだダメだってなっちゃってる。言ってるだけじゃダメだから自分で成功事例をつくる。これが僕のやりたいことなんです。

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2013年01月26日

Terra Motors株式会社 代表取締役 徳重 徹氏 | 事業家・ウミガメヱヴァンジェリスト 加藤 順彦氏 | 有限会社ポンタオフィス 代表取締役 本田 勝裕氏

大阪産業創造館 主催パネルディスカッション2013年1月26日(土)

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