ものづくり

《講演録》手間ひまを価値に! 東海バネ工業があえて選んだ『非効率』とは

2020.02.21

▶オーダーメイド多品種微量で競争しない領域を確立

バネの業界は国内の市場規模で約3,500億円。バネ屋のいちばんの特徴は大量生産です。需要先は自動車や情報通信が85%を占めており、競争が激しい領域です。

そんな中、私たちはエネルギー分野、社会インフラ分野などに特化しています。私たちはここを「競争しない領域」と呼んでいます。この領域をどのように世の中から探してくるか。行き着いたのがオーダーメイド多品種微量というビジネスモデルです。

 
私たちは「単品バネでお困りの方のお役に立つ」というミッションを持っています。すべての活動がここにつながっています。その結果が平均製造ロット5個の多品種微量のオーダーメイドなのです。

さまざまな形のばね

 
当社のビジネスモデルを構成する5つの要素を紹介しましょう。
まずは「在庫」。種類豊富なバネ用材料を常時500トン保有しています。なぜか。私たちは完全受注生産です。いつご注文いただくかわからない。その時にしっかり対応するために十分な在庫が要ります。

注文も不定期で、3年ぶり、5年ぶりが日常です。長いものでは30年ぶりの注文という例もあります。在庫があるから注文に対応できて価値につながる。「東海バネになかったら日本中探してもない」をめざしています。

 
2番目に「設備」。われわれの設備は機械メーカーと長期間打ち合わせして作り上げています。バネの製造にはさまざまな工程があり、工程に応じた設備が必要です。1個のバネでも工程飛ばしはありえません。1個のバネのために設備を稼働させます。

通常、メーカーでは稼働率が重視されますが、それでは微量を製造できません。私たちの設備導入の判断基準は人に優しいか、最高品質が実現できるかどうか。稼働率を無視した設備充実が価値を生み出しています。

 

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東海バネ工業株式会社

代表取締役

夏目 直一氏

https://www.tokaibane.com/

事業内容/各種金属ばねの設計・製造・販売