ものづくり

【幻冬舎×ゲンバ男子】7/13写真集発売記念記者会見

2015.07.22

—–【幻冬舎×ゲンバ男子】7/13写真集発売記念記者会見にて

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<Bplatz編集長 山野千枝より>
皆さま本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。
中小製造業の採用難を背景に、業界のイメージアップを目的として、2013年10月に始めたゲンバ男子ですが、今年11月に幻冬舎さんから写真集が発売されることになりました。

写真集につきましては後ほど幻冬舎の有馬さんからご説明いただきます。
私からはゲンバ男子の現状について改めてご説明申し上げます。

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我々が発行している情報紙では従来から製造業の経営者の方々を取材させていただくことが多かったんですけれども、数年前ほどから多くの経営者の方から、若い世代の採用が難しくなっているというお話を聞くことが多くなりました。
中には企業の存続にもかかわる問題と仰る方もいらっしゃって、地元の情報紙として何かできることはないかと考えていました。

とはいえ、これまでも製造業の情報発信については技術力や企業情報など国や自治体などもかなりの予算をかけて十分やってきたと思います。ですが、肝心の若い世代がそのような情報を知ることはほとんありません。

真面目なやり方をやっていても若い人には情報が届かない。
情報が届かなければ関心を持ってもらうことはできない。
であれば、「町工場で働くイケメンを探せ」という、やや卑怯なといいますか(笑)、変化球のコンセプトのもと、実際に町工場で「オトコマエに」働く若者をゲンバ男子と名付け、彼らが働く姿をプロのカメラマンが撮影した写真を一堂に集めた特設サイトを2013年にオープンしました。

その後、2014年10月には求人サービス、ユニフォーム会社などと協同で取り組みを拡大してきました。

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開設以来、私たちが想定していた以上に、多くの経営者の方に激励の言葉を頂きました。

よく誤解をされるのですが、ゲンバ男子として掲載している企業の採用を応援しているということではありません。

むしろ、ゲンバ男子の皆さんの力を借りて、製造業全体のイメージアップを図ることで、
製造業そのものに若年層の関心を集めることが目的です。

ですから私たちがもっともお役に立ちたいと思っているのは、今まさに求人活動をしているのに採用が苦戦しているという製造業さんです。

肝心の製造業全体の採用難解決にどれほどの効果があったのか、ということですが、正直なところ定量的な効果は測れておりません。

ですがタイアップしている求人サービス企業様からの報告によりますと、たとえば、「ゲンバ男子風」に、ものづくりの誇りや職人のかっこいいイメージのコピーや写真で求人広告を出したところ40人の応募があった企業さんもいらっしゃるそうです。この会社は30人くらいの規模の会社ですが、一度に4人の若者が採用できたと聞いています。

また、他社の事例ですが、同様のデザインで広告を見て実際に採用された男性は「働いている姿を見てかっこいいと思い、自分も挑戦したいと思った」と語ったそうです。

つまり、私たちが「かっこいいものづくり」を大々的に発信することで、各社が自分たちの誇りを思い切って発信しやすくなっているのかもしれません。行政が気運をつくり、各社がそれぞれ発信を強化したり、受け入れ態勢を見直したりすることで、少しずつですが成果は出ていくと思います。

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また、私たちがゲンバ男子を通して世間の誤解を払しょくしたいことがあるんですが、工業高校などで専門的な勉強をした人しか、ものづくりの仕事にはつけないと思われがちですが、実際、取材でお会いするゲンバ男子の半分は、アパレル業界やバーテンダーなど、まったくの異業種からの転職組です。

中には、「結婚を機に生活を安定させたくて」とか、「手に職をつけたくて」という理由で転職したという人も多い。

「ものづくりはひとづくり」という言葉がよく言われるように製造業には時間をかけて人材を育てるという文化があり、未経験者でも意欲があれば職人に育ててくれる会社も多いということも伝えたいため、ゲンバ男子の前職などの情報も触れるようにしています。

そして、近況のご報告です。
全国各地のものづくりの町でもゲンバ男子を始めてもらおうと各地に働きかけています。
といいますのも、業界のイメージアップを図るには、大阪だけでやっていても限界があると感じたからです。

その結果、今年4月に始まった川崎市を皮切りに、北九州市、静岡県、新居浜市など各地で開始に向けた協議が始まっています。先週金曜日にちょうど報告をいただいたばかりなのですが、春日井市では10月1日に開始することが決まったそうです。

全国各地のものづくりの町で一斉にゲンバ男子が始まる、このタイミングで、全国の書店で写真集が発売できるということは業界全体のイメージアップという目的に近づけるのではないかと考えています。

最後になりましたが、私たち大阪の地域情報誌の弱小編集部が起こした小さな波がここまで大きなうねりに育ったのは今まで応援してくださった関西のマスコミの皆さんのおかげです。この場を借りて心から感謝申し上げます。

そして、写真集の取材、撮影が今からすぐに始まります。
暑い時期ではありますが、ぜひ追いかけてください。
どうぞよろしくお願いいたします。

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【社員がゲンバ男子として掲載された中小製造業経営者の声】

「ゲンバ男子を見たという若者が応募してきて採用しました。今度はその彼の友人が入社してきて、若い社員が一気に増えたことで、先輩社員含め現場が活気づいています」

「ゲンバ男子に出てから、プロ意識が一気に高まったのか、毎朝始業前には出勤し、7時半から自主的に溶接の訓練をしています」

「うちの社員の幼稚園に通う子どもが『うちのお父さんゲンバ男子やで』と喜んでいるみたいです。社員が嬉しそうに教えてくれました」

「3Kといわれる仕事は若者に敬遠されがちですが、若い力無しに製造業は成り立たない。先日もお客さんに自分の携帯でゲンバ男子を見せながらうちの若手を自慢しました。一番変化したのは社員ではなく、私かもしれません」

「採用ページにゲンバ男子のバナーを掲載していたら、事務仕事の女性からの応募が増えました。どうやらイケメンがいるからではなく、地味で堅苦しいイメージだった製造業が、こんな柔らかい企画に参画していることで面白い会社だと思ったみたいです。女性社員が増えたおかげで会社が華やいで、結果的に男子たちも張り切ってるのかイキイキしています」

「社内ではあれこれ他社さんのゲンバ男子の論評も含めて盛り上がっています。これがきっかけで「こんな製造業もあるんや」と、ものづくり自体の探究心にもつながっているみたいです」

「現場というのは、3Kと思われがちですが、ものづくりに向いている若者が、華やかに見えるホワイトカラーの仕事をめざし、苦労している姿もあるように思います。製造現場の楽しさを、もっと伝えられれば、まちがった選択をしないのではないかと思います」

【その他、求人活動中の中小製造業経営者の声】
「業界を盛り上げてもらえることは採用活動の追い風です。求人広告にも「誇りを持ってできる仕事」と打ち出し、会社も若い人が来てもらえるよう現場も改善しました。おかげさまで応募の数も増えました。気運をつくってもらって私たち自身も変わるキッカケになりました」

「現場感のある写真を載せたかっこいい求人広告を見て採用した新入社員が『先輩社員が働いている姿がカッコいいと思った。自分も挑戦したいと思って応募した』と言ってくれました」

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大阪産業創造館

Bplatz編集長

山野千枝

https://bplatz.sansokan.jp/archives/category/genba