ものづくり

《講演録》手間ひまを価値に! 東海バネ工業があえて選んだ『非効率』とは

2020.02.21

▶当社の人材観。大切なのは何よりも「ひと」

いちばん大切な経営資源は「ひと」です。機械や設備やITシステムも大事ですが、単品のバネ製造は特に属人性が高いビジネスモデルです。そのため社員皆で価値観を共有して力を合わせて組織能力につなげていくことを大事にしています。

このことも創業者から二代目社長へ、そして現在に引き継がれて、当社の哲学・理念になっています。


 
また、「会社のために働かない」のが当社の社風です。誰もが社会から求められるかけがえのない人材であるべきです。

社員を会社にしばりつけるのではなく、社会貢献のために会社で働いてもらう。うちでしっかり成長して、次の社会貢献できる場を見つけたら辞めてもいい、そういう方針で社員に接しています。

 
そして「あきらめなければ何度でもリスタートできる」。一時の結果だけで人生が決まることはありません。途中から取り返すことは必ずできる、チャンスは平等にあると考えています。

そのために、人材育成の道場をつくって理念教育を行なったり、個人の成長のみを見守る絶対評価制度を取り入れるなど、さまざまな人材育成の仕組みをつくっています。

 
今年、当社は77年目ですが100年企業をめざしています。理念やビジョンを大事にしながら、高収益・高報酬の健全な会社をめざす。そのことも100年続くための手段であると考えています。

 
(文/荒木さと子)

 


夏目 直一氏(東海バネ工業株式会社 代表取締役)
東海バネ工業入社後、技術マネージャー、営業マネージャーを経て00年、取締役就任。情報システムなどを含む経営戦略全般を担当。03年常務取締役、2018年に東海バネ工業株式会社、3代目社長に就任。当社は、経済産業省が推進するIT経営応援隊事業で、04年度のIT経営百選最優秀賞を受賞。関西IT百撰最優秀賞、経済産業省IT経営力大賞最優秀賞、一橋大学2008ポーター賞、第6回ものづくり日本大賞経済産業大臣賞などを受賞。

東海バネ工業株式会社

代表取締役

夏目 直一氏

https://www.tokaibane.com/

事業内容/各種金属ばねの設計・製造・販売