想いをカタチに。老舗パッケージ屋が挑む「ものづくり」
創業71年。川田紙工はパッケージを中心とした紙製品の製造・加工業に専従してきた。素材をさまざまな形状にカットする「抜き加工」、粘着材で素材を重ね合わせる「貼り加工」のプロフェッショナルである。
そんな川田紙工が生み出すカレンダーや販促品、ノベルティがおもしろいと評判だ。
はじまりは、家業を継いだ3代目の川田氏が立ち上げた営業部。「価格・納期面で厳しいポジションにある川下の下請けから、少しでも脱却したいと直接メーカーに営業をはじめました」。
あるとき、営業部が挨拶まわりに持参するものがほしいと、カレンダーを社内制作することになった。プロジェクトチームには、営業、製造現場から新入社員まで、希望者が手をあげて参加。もともとコミュニケーションが盛んで、チームごとに自主的な活動を行う社風だったため、「パッケージ屋らしく凝った形状にするという条件だけを出して、すべて任せました」。
以降、カレンダー制作は毎年行われ約10年続いている。ぐるぐる回転したり、浮いたように見えるものなど、どのカレンダーもアイデアと技術を生かしたユニークな形状で、インテリアにもなるようなデザインが特長だ。組立てが簡単で省スペースだから、保管・運搬にも適している。
その後、自社製品としてオリジナルカレンダーを展示会に出したところ、消費者の反応を直接聞ける機会が増え、社員のやりがいにもつながったという。
さらには、展示会の配布物としてつくった紙製の靴べらやクリップ、しおりなども好評を得て、販促品やノベルティの注文も受けるようになった。
「うちは、川下の最終加工屋。だからこそ、多様でアイデアにあふれた各種印刷物の最終加工に携わってきた」という川田氏。
長年培ってきた経験やノウハウをもとにアイデアを出し、お客さまの要望に合うデザイン性と機能性を備えた製品を、迅速に提案できるところが強みだ。
今後もさまざまな業界、多くの方々に川田紙工のことを知ってもらえるよう、「みなさまの想いをカタチにするお手伝いや、オリジナリティあふれるものづくりに、どんどん挑戦していきたいです」。
(取材・文/花谷知子)
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