「混ぜる」を極め、製造業を上流から支える

混ぜて、分散させる――この一見シンプルな技術も、極めれば大きな価値を生む。それを教えてくれるのが、1928年創業のレジノカラー工業株式会社だ。創業当初は顔料の製造を生業としていたが、1965年に堺化学工業社の傘下に入り、顔料合成で培った分散技術を武器に、さまざまな工業原料の加工を手がけるようになる。「1980年代にオーディオテープが普及すると、磁性材料を分散させたインキや静電気を防止する塗布剤などの需要が生まれ、それまで得意としていたマスターバッチ(樹脂に着色剤や添加剤を高濃度で分散させた粒状材料)に加えてインキ製品も手がけるようになりました。このように、お客さまから日々さまざまなご要望をいただく中で、対応できる機能や形状の幅も広がっていきました」と橋本氏は振り返る。

現在は、樹脂や合成ゴムなどの素材に色を加える「着色剤」と、素材に紫外線カットや導電性、抗菌などの機能を加える「機能材料」を幅広く展開。その用途は、建材や自動車部品、電子部品、日用品、化粧品、包装資材など多岐にわたる。
そんな同社の強みを支えているのが、顔料や機能性材料を高濃度かつ安定的に分散させる技術だ。「例えるなら、満員電車の中でも乗客同士が触れ合わない状態を保つような技術です」と語るように、高濃度の物質を溶剤の中で均一に分散させるのは容易ではない。混ぜ方はもちろん、物質同士の結合を防ぐ添加剤についての理解など、100年近くにわたって蓄積されたノウハウがこれを可能にしている。

この優位性をさらに強固なものにしているのが、顧客の求める形状への対応力だ。同社の製品は顧客の手でさらに川下の材料へと加工されるため、それぞれの加工方法に適した形状での納品が求められる。粉末や顆粒から液状、ペースト状まで、その要望はさまざまだ。「お客さまの求める色や機能を持った素材を、お客さまが使いやすい形状で届けられるのは私たちの大きな強みです。これだけ幅広い形状に対応している加工メーカーは少ないと思います」と福永氏。

高濃度の素材を要望どおりの形状で供給できれば、顧客側での配合設計の自由度が高まる。「お客さまは私たちの製品を希釈したり、他の材料を加えたりして次の工程に進めます。最初の濃度が高ければ希釈の幅も広がるだけでなく、より多くの材料を添加できるため、製品開発の幅も広がるのです。体積が減ることで、輸送や保管コストを抑えられる利点もあります」と小林氏は語る。
気候変動への懸念が高まる近年、同社が力を入れているのが「熱」に関わる機能材料だ。透明性を維持しながら近赤外線を吸収して内部の温度上昇を抑える「高透明近赤外線吸収分散液」や、黒色でも蓄熱を抑える「近赤外線透過ブラック分散液」などの製品をそろえ、高まる熱マネジメントへのニーズに応えている。
創業以来、堅実に歩んできた同社。その背景には「現状維持は衰退」という危機感とともに、常に新たな技術を取り入れながら事業を発展させてきた姿勢がある。「今より1%でも濃度を高めるには、どのような配合にすれば良いか。新しい製造技術に対応するには、どのような形状が良いか。常に目標を高く持ち、変化し続けることを社員全員が意識しています」と橋本氏。昨今の原油価格の変動も「大きな打撃になっている」というが、たゆまぬ向上心と堅実な経営姿勢を武器に、力強く乗り越えていくだろう。

左から技術開発部シニアアドバイザー 橋本 真司氏、技術開発部長 小林 恵太氏、品質環境部長 福永 誠太郎氏
(取材・文/福希楽喜)
※掲載写真は、編集部にて撮影したもの以外に、取材先企業からご提供いただいた写真も含まれています。
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レジノカラー工業株式会社
技術開発部シニアアドバイザー 橋本 真司氏
技術開発部長 小林 恵太氏
品質環境部長 福永 誠太郎氏
事業内容/分散技術を用いた着色剤・機能材料の開発・製造









