人生最高のTシャツは、糸から縫製まで大阪メイド

「1万円のTシャツ!?」と驚くことなかれ。創業95年の縫製会社・三恵メリヤスの自社ブランド「EIJI」が、大阪の職人たちとこだわり抜いてつくる逸品。

世界最高峰のオーガニックコットンを100%使用する、なめらかな肌触りと軽さ、着るほどに肌に馴染む心地よさが魅力。何度洗っても丈夫でお直しもできるという、ずっと大切にしたくなる1枚だ。

戦後、GHQの方針の下で小さな繊維産地となった中崎町に移転した三恵メリヤスは、肌着や学校用の体操服などを縫製する下請けをしてきた。

そして、スポーツ用品メーカーのスウェットを製造するほか、昔ながらの貴重な縫製技術や、古着を再現する加工技術などを生かしてカジュアルウエアの企画営業を行い、下請けからの脱却を果たす。

三恵メリヤスの長男として生まれた三木氏は、東京の大学在学中に仲間と留学支援ビジネスを起業。競合が多い国内では苦戦したが、海外に拠点を設けることで成功を収める。

ロンドン店を任されているときに父親が体調を崩し、初めて跡継ぎの話をされたという。三木氏が1年間悩んで出したのは、次期後継者として帰国するという選択。「自分を育ててくれた家業や、可愛がってくれたみんなを守らなければと思いました」。

専務取締役 三木健氏

帰国して驚いたのは、家業の技術の高さとものづくりへのこだわり。そして、それらが全く世の中に知られていないことだった。さらには、協力工場が次々と廃業していく現実を目の当たりにする。

「賃加工の下請けだけでは、優れた技術や強みが消費者にまで伝わらない」と感じた三木氏は、各協力工場が最大限の力を発揮できる製品を世に出すことが自分の役割だと考えた。

その計画が、大阪府の助成金に採択されたことで一気に進む。徹底的に試作品をつくって最高の状態のTシャツを見つけ出し、その製造工程をすべて大阪メイドで行うファクトリーブランド「EIJI」が誕生したのだ。

創業者である曽祖父の名をつけた「EIJI」には、代々大切にしてきた協力工場との信頼関係や、切磋琢磨して技術を磨いてきた歴史への矜持も込められた。

クラウドファンディングに成功するなど、順調に認知度を上げてファンを増やす「EIJI」には、各方面からコラボレーションの話が届く。それらに挑むことが成長や手応えにつながっているという三木氏。

「繊維産業が盛んな大阪で、腕を磨いてきた職人の技を間近で見たら感動しますよ。彼らの経験や技術を次世代につなげるために、若い人を採用して育てることにも取り組んでいます」。

(取材・文/花谷知子 写真/福永浩二)

2021年08月03日
三恵メリヤス株式会社
専務取締役  
三木 健氏
事業内容/メリヤス丸編み生地を使用したTシャツ、スウェットなどの製造業

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