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400年続く地場産業、堺和ざらしの快眠パジャマ

2021.08.06

手ぬぐいや浴衣の製造は、江戸時代から続く堺市の地場産業。石津川の豊かな水量に恵まれた津久野・毛穴(けな)地域では、製造工程のひとつである「和ざらし」業が発達した。かつては、純白の布が川面を流れ、河原や丘陵で天日干しされる光景が見られたという。

現在、石津川沿いに残る和ざらし工場は7軒で、津久野には角野晒染のみ。この7軒で、手ぬぐいや浴衣などに使われる国産小幅木綿の9割が生産されるというから驚きだ。

代表取締役社長 角野 孝二氏

「和ざらし」とは、生機(きばた)と呼ばれる布生地から不純物を取り除く製法で、仕上がった木綿生地のこともそう呼ぶ。

「洋ざらしは短時間・高圧力で仕上げるが、和ざらしは大きな専用窯に生機を入れて約30時間炊くなど、4日間の工程をかけて柔らかな肌ざわりと高い吸水性を生み出すのが特徴」と説明する角野氏。

創業90年の角野晒染は、「和ざらし」業だけでなく、生地の調達から、染め、製品化まで一貫して行う。

主力商品は、病院向けのガーゼ寝巻きや販促用の手ぬぐいだが、近年では自社ブランドを立ち上げ、和ざらしを使ったホームウエアやパジャマをプロデュースして販売している。

なかでもデザイン性にこだわった二重織ガーゼのパジャマ「panema」は女性に人気。袖を通すと、赤ちゃんの産着のような柔らかい感触だ。前身頃の打ち合わせが腹部を冷えから守り、吸水性や通気性のよさが快眠を促す。「一度着て寝たら、その寝心地のよさがわかり、洗い替えにもう1枚買い求められる方が多いですね」と話す角野氏。

また、女性向けのアパレルブランド「MUSUBI」も立ち上げた。綿と麻を使った、着込むほどに身体になじむおしゃれな外出着。手間をかけてつくられる「和ざらし」と、丁寧に服を楽しむ幅広い年齢層の女性達を結ぶ。

最近では、敷地の一角にモダンなショップ兼工房を建て、絞り染め体験工房をスタート。子どもから大人まで、和ざらしを使った絞り染めが楽しめ、鮮やかなオリジナル手ぬぐいを持ち帰ることができると好評だ。
「手ぬぐいを広め、日常使いしてもらうきっかけづくりにしたい」と事業化をめざす。

角野晒染では、先先代、先代と兄弟で家業を継ぎ、角野氏もいま、兄とともに事業を運営している。従業員は、だんじり祭りを介した知り合いや地元の同級生がほとんど。

家族で助け合い、地域とともに存続してきた企業として、約400年続く伝統産業・和ざらしのよさを発信することを、これからも一丸となって続けていきます」と前を向く。

(取材・文/花谷知子 写真/福永浩二)

角野晒染株式会社

代表取締役社長

角野 孝二氏

https://www.kadono-sarashi.jp

事業内容/手ぬぐい・浴衣・ガーゼパジャマなどの製造販売