失敗が一番の勉強や
2015.08.07
「ぼくの技術はそう簡単にはマネできないと思う」。新幹線などに使われる、硬度の高い焼入りボルトに穴をあけるその腕前に、工場を訪れる同業者やメーカーの開発担当者が驚くという。
ドリルの回転数まで頭に入れ、ボルトに四方八方から穴を貫通させ、0.1ミリの誤差もなく中心の一点でぴったり交差させるのだ。
北田さんは、祖父の代から続く鉄工所の後を継いだ。「はじめは嫌やったけど、やってたら得意になって、だんだん好きになっていった」。
北田さんの代からはじめた穴あけ加工は30年以上もの間続いている。苦労も多かったというが「失敗することが、一番の勉強ですね。人に聞くより、体で覚える。いろいろ経験していたら、次の時に新しいアイデアが浮かびますねん」。
現在、54歳。北田さんの職人としての挑戦は、まだまだ続く。
(取材・文/Bplatz編集長 山野千枝 写真/福永浩二)