自分のやり方を見つけろ
「しゃべるんが苦手で、手動かすほうが好きやったからこの道に合ってたんやと思う」。
そう語る清水さんは、船舶用のプロペラの修理を40年続けている。全国各地から運ばれてくる破損したプロペラを溶接し、たたき、研磨し、新品のような美しい状態に直す。
「船主さんが、こんなペラもうあかんやろって思ってるもんでも、元の形に戻してあげたら喜んでもらえる」と照れくさそうに語る。
清水さんの技術力の源は「音」だ。「誰かが向こうで作業してても、聞こえてくる音だけでそいつが今どんな仕事してるかわかる」。
清水さんが作業をはじめると、若手社員が真剣な眼差しで清水さんの手元を眺める。
「仕事は基本しか教えへん。仕上がりが同じやったらやり方はどんなんでもええねん。マニュアルがなくても自分で考えて、自分のやり方を見つけんとな」。
工場には今日もハンマーとグラインダーの音が鳴り響く。
(取材・文/Bplatz編集長 山野千枝 写真/福永浩二)