社員の声を聞き、風土を刷新。活力ある職場がイノベーションを生む!

コンクリートの撤去・除去工事を専門に、工事計画から進行管理、施工までを自社一貫体制で手掛けるコンクリートコーリング株式会社。人的資本経営に早くから取り組み、2025年には国際的ガイドライン「ISO 30414」を中小建設業でいち早く取得した。
その契機となったのは2017年、採用人数がゼロになったことだった。「このままでは人手不足で倒産しかねない」。危機感を抱いた代表の藤尾氏は社内改革を決意。「変化を嫌う職人気質、年功序列、属人的な技術継承。そんな建設業のイメージを変えたいと思いました」と振り返る。

2021年に建て替えた新社屋では、全社員がワンフロアに集う。
社長と二人三脚で改革を進めたのが、経営統括室長の中元氏だ。採用委員会を立ち上げ、翌年には大学新卒者の内定承諾を得ることができたが、社内整備は手つかず。そこで急遽、13日間連続の研修を実施。挨拶や電話応対など社会人としての基礎力向上に取り組んだ。その後、社内大学「CCCアカデミー」もスタート。シニア社員が丁寧に指導することで「仕事は見て覚えろ」という心理的負荷の軽減につなげた。また、研修を内製化することで参加者の抵抗感も少なく、新卒社員が独り立ちするまでの期間も大きく短縮できたという。

社内大学「CCCアカデミー」。技術だけでなく社会人としての基礎力も学ぶ。
しかし本当の改革はここからだった。「2019年、将来を期待されていた社員が辞めてしまったんです。その際に『会社を変えたいと思っているのは、社長と中元さんだけだ』と言われて。双方向のコミュニケーション不足を痛感しました」と中元氏は振り返る。そこで同社は、社員全員を対象にエンゲージメント調査を実施。自由な意見を募り、会社からの回答を公開することに。昇進や男女の賃金差、部署間の連携不足、社員教育への不満など、寄せられた課題はさまざまだったが、一つひとつに丁寧に向き合ううち、社内の雰囲気は徐々に変わっていった。

部署を超えた交流の場として活用される屋上スペース。
2021年の本社建替えを機に、部署の垣根を取り払うため全社員がワンフロアに集結。簡易な社員食堂やコーヒーコーナー、ソフトクリームコーナーに加え、気軽に体を動かせる卓球台や屋上のゴルフ練習スペースなど、社員の声をもとにさまざまな設備を形にしていった。現在もエンゲージメント調査は続いており、寄せられた要望とそれに対する回答は、社内のデジタルサイネージで常に掲出されている。賃金施策では、年齢や勤続年数による差が生じないよう、ベースアップをパーセンテージではなく一律金額に。業績好調によるボーナスも全社員に同額を支給している。こうした取り組みが奏功し、「働きがいのある企業賞(産経新聞社賞)」を受賞した。
施工会社から「技術開発型企業」への転換をめざす同社。社員ファーストの姿勢がイノベーションを生む土壌と位置付け、人材の能力や可能性を最大限に引き出そうとしている。

右から代表取締役社長 藤尾 浩太氏、経営統括室長 中元 美緒氏
(取材・文/北浦あかね)









