産創館トピックス/講演録

《講演録》1on1ミーティング〜部下と信頼関係を築き成長を支援する1対1のマネジメントとは[1]

2019.10.11

特に、最近の若い世代の価値観を見てみると、出世して、お金を稼いで、物欲を満たして……というようないわゆる“資本主義的成功”に重きを置いておらず、それよりも「意味合い」を重視しています。

つまり、会社の持つ理念、社会にどういう影響を与えるのか、扱っている商材やサービスに心から共感できるかどうかという部分を本当にシビアに見ているのです。だから、仕事に対して与えられたタスクの背景、目的、さらには“私がこれをやる意味”について納得感がないと動けないのです。

また、彼らにとって大切なのが、「心理的安全性」。この上司には何を言っても大丈夫、という安心感です。

彼らの心理的安全性を保ちながら「意味合い」を伝えていくためには、たくさん関わっていかなければいけません。にも関わらず、情報交換の場しかなく、コミュニケーションが不足しているのが現状なのです。

そのような環境下では、優秀な人ほど前兆も無く辞めてしまったり、周りが気づかないうちにメンタルに支障が出る人が出てきたり、部下の成長機会が失われたり、信頼関係が構築できなかったりと、マネジメント上も、会社の経営上も、問題が出てきます。

そこで、「1on1ミーティング(以下1on1)」が有効性を発揮します。モチベーションアップ、目標達成率のアップ、成長加速、評価への納得感の向上など、さまざまな実施メリットがあります。

その中でも注目して欲しいのが、人材マネジメントが「後手の対応」から「先手の対策」へとシフトして、見えないマネジメントコストが削減されるという点。とても大きなメリットです。

例えば、先ほど出ていたような“突然”の退職や、“突然”の心身の不調を事前に察知して対策することができ、大きな損失を生まずに済むようになる、「なんでもっと早く言ってくれなかったの」ということが減るということです。ミーティングを問題解決の場ではなく、問題発見の場にすることができるのです。

また、部下の声に耳を傾けることによって、組織に人を当てはめていくという組織構築ではなく、「○○に意欲のある個人」起点で、組織を構築していくことができる。ボトムアップ型の組織人事も実現可能になっていきます。

 
>>>《講演録》1on1ミーティング〜部下と信頼関係を築き成長を支援する1対1のマネジメントとは[2]に続く

(文/今中有紀)

 
世古 詞一氏(株式会社サーバントコーチ 代表取締役/株式会社VOYAGE GROUP フェロー)
大学卒業後、外資系生命保険会社にて、営業・投資教育に従事。その後、ITベンチャーである株式会社VOYAGE GROUPに創業期より参画。営業本部長、人事本部長、子会社役員を歴任。2008年に独立し、現在は人事アドバイザーとしてフェローを務める。「働きがいのある会社」(Great Place to WorkRInstitute Japan)に2015年から3年連続で中規模部門第1位となった礎を築く。株式会社サーバントコーチの社名の由来は、米国のロバート・グリーンリーフ博士が提唱する『サーバントリーダーシップ』(まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである)の概念から。社会人時代に自身が心掛け実践し、コーチの役割を実践していく上での自身のあり方にも一致する、過去から未来に向けたアイデンティティとしての共感から命名。コーチングやエニアグラム、NLP、EQ、マインドフルネスなど10以上の心理メソッドに通じ、個人の意識改革から組織全体の改革まで、クライアントの可能性を最大限に引き出し、日々の充実感を得ながら、目標を実現していくサポートを行っている。

株式会社サーバントコーチ 代表取締役/株式会社VOYAGE GROUP フェロー

世古 詞一(せこ のりかず)氏

https://servantcoach.jp/