《講演録》1on1ミーティング〜部下と信頼関係を築き成長を支援する1対1のマネジメントとは[1]
なぜ「1on1ミーティング」が必要なのか。それを理解するために、組織の成功循環モデル(by Daniel H Kim)について説明します。
「関係の質」→「思考の質」→「行動の質」→「結果の質」→「関係の質」……という、4つの要素が循環するサイクルです。
組織は継続的に「結果の質」を上げていきたいですよね。そのために普段やっていることは「行動の質」を上げることです。その「行動の質」を上げるためには、「思考の質」が変わっていかないといけません。
組織の中での「思考の質」を上げるためには、お互いにさまざまな触発を受けたりする「関係の質」を上げる必要があります。
「関係の質」がいいと、「思考の質」が上がり、その結果、「行動の質」が上がり、「結果の質」をあげるという成果を生み出すことができる。つまり、「結果の質」を高めるためには、「関係性の質」に働きかけることが重要ということです。
実際は、「結果の質」を上げるために、「行動の質」ばかりを見がちなのですが、結果が出ていないときこそ、「関係性の質」が重要になるのです。
すべての土台になっているのが、「関係の質」で、それがあるからこそ、「結果の質」を上げるサイクルが回っていくということなのです。
では普段、組織において「行動の質」を中心として上司と部下の間でどんなコミュニケーションがなされているかというと、業務に関する情報交換をしているに過ぎないのです。
つまり、「関係の質」を高めるような部下個人に焦点を当てた対話ではなく、成果を出すためのやり取りに終始しています。
この時の部下は、会社の中で代替可能な「資源(リソース)」としてしか存在しておらず、部下のアイデンティティ、モチベーションが保てないということにつながっていってしまいます。
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