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【ロングインタビュー】「オリオンやったら許したるわ」という存在に

2019.06.11

― 商品はどのようにして考えているのですか?

一応、4Cという開発モットーがあります。「見てたのしい、買ってうれしい、食べておいしい、またほしい」です。メディアの方からそういう質問をよく受けるのでそれらしいことを考えなあかんなということで作りました。

企画部という部署で毎月営業担当者も交えながら商品企画の会議をします。そのあと飲み屋に流れてみんなでワイワイ言いながら考えています。

ふだんどんなことを考えているか?まあ、「今日はどこに飲みに行く?」ばっかりですね(笑)。ぼく自身も多くのネーミングに関わりました。「食ベルンです」もその一つです。

 
― 失敗例は。

思いついたら出してみるという開発姿勢なので、よく「千三つ」と言われますがヒットするのはそのくらいの確率です。

時計のG₋SHOCKを模した腕に巻き付けるガムを発売したのですが、これがまったく売れませんでした。ガムがだいぶ余ってしまったもんですから、これを何かに転用できないかと考えて生まれたのが「おくすりやさん」シリーズです。

飲み屋で知り合った大手の会社の人がオヤジギャグの好きな人で、飲み屋に配るためのお菓子を作ってほしいと頼まれて一緒に考えました。

今では中身のお菓子はチョコレートに変わっています。イケメン不足に「キムタック600」、「ドナイシトール」などのお薬をイメージしたチョコに処方箋袋もつけて、新地のママがバレンタインにお客さんへのプレゼントとしても使ってくれています。

「おくすりやさん」シリーズ(処方箋袋付き)

 
― ココアシガレットも梅ミンツもミニコーラも1個30円という価格を維持するための工夫は。

例えばミニコーラのラムネは粒の大きさを変えました。内容量は1つ当たり9グラムで変えていないのですが、1粒の重量を0.15グラムから0.2グラムに増やしたので粒数は減っています。こうすることで製造時間を短縮させることができます。

ココアシガレットは原料の乳糖が上がったため原料の見直しをせざるを得ませんでした。近くの幼稚園児に原料を変える前と後で味がおいしくなったかどうかを聞いて、「おいしくなった」と言われるまで改良を重ねました。

糖衣工場

 
― それにしてもココアシガレットは70年近いロングセラーです。生き延びる秘訣は。

今はネットの時代であっという間に広がっていきますから、話題性も大事です。ココアシガレットは禁煙の流れを受けて肩身が狭くなっています。WHOなどからもタバコに似せたものは作らないようにと“指導”を受けました。

それで商品誕生から60周年のタイミングでパッケージに「あなたの禁煙を応援します」というフレーズを書き加えました。禁煙応援グッズに生まれ変わったわけです。

去年は電子タバコに似せた「MyQOS」を商品化しましたが、クレームが入りまして。ミニコーラの一件が頭をよぎり、QをCに変えて「MyCOS」に改名しました。

そうしたら2月頃からツイッターでバズりましてね。ニュースでもたくさん取り上げられ、アマゾンの食玩部門の1位にもなりました。

「myQOS」改め「myCOS」。「2011年からオリオンはあなたの禁煙を応援します」のコメント入り。

 
― これからの目標は。

駄菓子は日本の文化です。その良さを世界に広げようと2015年に駄菓子メーカーなど18社で「DAGASHIで世界を笑顔にする会」を結成しました。インバウンドにも非常に評判がよく世界に通用するお菓子だと思っています。

「MyCOS」に舞妓さんのイラストをつけたのもインバウンドを意識しました。これからも怒られへん限りパロディ菓子を作り続けていきます。

そして「オリオンやったら許したるわ」という存在になれたらいいなと思っています。

常務取締役 企画本部長 高岡 五郎氏

(取材・文/山口裕史 写真/福永浩二)
 

6月号で掲載した記事はコチラ
→笑ってもらってなんぼ、突き抜けたパロディで敵なし

オリオン株式会社

常務取締役 企画本部長

高岡 五郎氏

https://orionstar.co.jp/

事業内容/子ども向け菓子の製造