笑ってもらってなんぼ、突き抜けたパロディで敵なし
これを口に加えて、ちょっぴり大人の気分に浸った子ども時代を思い出す人は多いだろう。タバコの「Peace」を思わせる箱に入った砂糖菓子、ココアシガレット。
1951年の発売以来、累計3億本の販売実績を誇るロングセラーだ。
次に商品化したのが「梅ミンツ」。当時、タバコとともに大人がたしなんでいた仁丹をヒントに2匹目のドジョウを狙った。容器はダンヒルのライターを模し、これも大ヒット。真似に寛容だったユルーい時代をすり抜けた。
だがそれを許さない会社もある。赤い缶を小さくした容器のラムネ菓子「ミニコーラ」を出すと、「ジョージア州の飲料会社」が裁判で挑んできた。「到底勝ち目がない」とびびりながらも、10年がかりの裁判の結果は勝訴。菓子と飲料は違う、との判断だった。「メディアも会社も“奇跡が起きた”と沸き立ちました」と高岡氏。
「これに味を占め」て、以後はパロディ路線を突っ走る。大流行した使い捨てカメラをアレンジした「食べルンです!」にフィルム販売の関連企業からかかってきた電話には一瞬身構えたが、「うちで販売するフィルムの景品にしたい」との相談で胸をなでおろした。
これら多くのネーミング、包装デザインのアイデアを考えてきたのが高岡氏。よしもとを見て育ち、ラジオ、テレビの投稿少年がそのまま大人になった。
開発のモットーは「4Cです」。英語のマーケティング用語が出てくるのかと思えば、「見てたのしい、買ってうれしい、食べておいしい、またほしい」とのこと。
毎月開かれている企画会議でアイデアが出されるとのことだが、どうやら実質の会議室は「その後に流れて行く飲み屋」のようだ。
もっとも、1個数十円~で売る駄菓子の世界。「例えば、同じ重量でも1個当たりの粒を大きくし数を少なくすることで速く生産できるようにしてきました」と子どもが買える値段を維持する工夫はまじめにやってきた。
近年は禁煙の風潮でココアシガレットも肩身の狭い思いをしているが、発売60年を機にコンセプトも一新。箱の横には「あなたの禁煙を応援しています」との文言を加え、生き延びている。
電子タバコ化への対策もぬかりなく、昨年は「my QOS」を商品化。「久しぶりにアメリカの会社からクレームが来ましてね」。そこは「Q」を「C」に変えることで切り抜けた。
もはや「オリオンに真似されたら一流の証拠」とまで周りに言わしめる。パロディもここまで徹底するともう立派なビジネスモデルだ。
(取材・文/山口裕史 写真/福永浩二)