顔料製造での機械洗浄で得たノウハウをスプレードライ加工へ
「スプレードライ」とは、液体を霧状に噴霧して熱風で急速に乾燥させ、短時間で球状の粒子を得る手法。
「球状にすることで流動性が高く、かつ粉立ちが少ない扱いやすい粉体になる」。日華化成は、セラミックスや界面活性剤などの粉体化の委託加工を請け負っている。
昭和31年の創業時より、漆器や寺社仏閣などで使用される漆用顔料を製造してきた。強い着色力を持つ顔料の粉は微粒子のため粉塵が舞いやすく、生産機械の隙間や細かいキズに入り込みやすいため、粉塵の対策や機械洗浄にはたいへん手間がかかる。
そこで、顔料での機械洗浄で得たコツやノウハウをスプレードライヤーに応用。通常は単一製品を量産するための機械であるスプレードライヤーを同社では多品種少量の受託製造に対応している。
洗浄は機械の中はもちろん、配管類もすべてばらし、一つひとつ丁寧に手洗いしてから組み立てるという徹底ぶりだ。「すべて洗浄し組みつけるには、小型の試験機でも半日。直径3メートルの量産機になると3、4日はかかります」と山本氏。
10年ほど前から業界で外注の動きが活発化し、口コミやホームページからの引き合いが増えてきているという。現在は小型機から量産機まで5台の装置が稼働。スプレードライによる加工だけではなく、原液の調製から納品までワンストップで対応できることが強みだ。
「今後、期待しているのは、樹脂業界向けのエマルジョンの粉体化や二次電池向け原料の加工」。多品種少量でも対応できることを武器に他分野での高機能化、多機能化をめざす。
(取材・文/花谷知子)