【ロングインタビュー】大阪ならではの「笑える蛇口」が、知名度も技術力も高めてくれた
―社内に広告の制作部をお持ちですね。
製品カタログやホームページなどはすべて自前です。撮影スタジオも社内に設けています。世界でさらに認知を広げていくためには映像戦略も大事だと考え、映像研究部も作りました。広告の制作部と、商品デザインや設計、新製品の企画を行う部署は、すべてワンフロアに揃います。
新製品の発売点数は、年間約200点でおそらく日本一です。常に全商品の1/4を入れ替えているので、スピード感や社内のコミュニケーションは大事ですね。
製品の数が多く、入れ替わりも激しいため、ショールームはなかなか作れません。ホームページやFacebookなどのWEBや、新しいIT技術を取り入れて海外に向けても発信していく予定です。
―今後の展望は?
「Da Reya」シリーズを中心に、さらに認知度を高めていきたいと考えています。水道用品は、販売・施工をするお店を通してユーザーの元に届きます。販売店に認められても、一般ユーザーが知らない会社であれば、販売店側にクレームが入ることもある。ですので、基本はBtoBの商売ではありますが、一般の方にも広く知っていただく必要があると思っています。
将来的には、ヨーロッパ製に勝てるデザインで、誰もコピーできないような難しい形のものを日本発信で作っていきたいです。材料も国産にこだわりを持っていて、「Da Reya」シリーズに使ったやかんは大阪市阿倍野区で実際につくられているものです。伝統工芸シリーズも続けていきたいですね。
デザインは社会環境の影響を受けています。修理コストが安ければデザインに特化することもできたのでしょうが、日本では職人が修理するため、コストがかかる。だから、壊れないように高品質のものを作る努力をしてきたという背景があります。反対に、ヨーロッパは品質よりもデザインを優先。水回りの環境も日本とは違います。私たちは高品質、高レベルのデザイン、そのどちらも実現したいと考えています。
誌面で紹介した記事はコチラ
→さすが大阪!「笑える蛇口」が生みだすイノベーション
(文・写真/衛藤真奈実)
株式会社カクダイ
代表取締役副社長
多田 修三氏
事業内容:水道用品の製造・販売・輸出入を行う創業136年の老舗企業。いわゆる普通の「水道」「蛇口」から伝統工芸品とコラボしたものや笑える蛇口まで広く取り扱う。