【ロングインタビュー】「ベンチャー型事業承継」は古くて小さな会社にこそ商機あり
―継ごうという気はありましたか?
まず「鶴橋部品」という社名がどうにもダサくていやだった(笑)。商売をしていた長屋はぼろぼろでかっこ悪いなあと思っていましたし。継ごうという気持ちは毛頭なかったのですが、やっぱりどこかに逃げとして、最後は家業を継げばいいという考えがあったかもしれない。そういう意味ではおいしいと思います。いつまでもバックパッカーとかやってるやつって親が商売しているパターンが多いでしょ(笑)?そういう甘えがどこかにあるんでしょう。
―じゃあ、どんな道に進もうと?
はじめは、コンピュータのSEをめざして専門学校に通いました。音楽が好きで、クラブDJにはまっていくうちに、それで生計を立てるようになっていきました。東京や地方のクラブイベントにも呼ばれて、ラジオやテレビにも出演してるうちに携帯電話を売ってみないか、と誘われクラブイベントで売り始めたらこれが売れたんですね。それから大手のVCから資金調達に成功しITベンチャーの役員になりました。
Yahoo!Cafeを数店舗運営したり、Webサイトを作ったりいろいろやりました。それでも思うように事業が伸びず、朝から深夜まで仕事漬けの日々でしたが、「20代の役員」という立場でいろんな新規事業のスタートアップを経験することができました。役員の任期が終わる3年目に、父が待っていたかのように「仕事はあるで、ベンチャーより部品の仕事の方が儲かるで」と言ってきたんです。
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株式会社カスタムジャパン
代表取締役
村井 基輝氏
事業内容/2005年創業。バイク・自転車・自動車パーツと整備工具のカタログ・ネット販売を手掛ける。家業の株式会社日本モーターパーツの3代目も継承した。