無理なく、着実に「劇薬」のない世界を広げる

本川氏が身を置くハウスクリーニング業界では、しつこい汚れを短時間で落とすために、多くの業務用洗剤に塩酸や強アルカリなどを含む「劇物」が使われている。それらは、肌のただれや失明につながる危険性だけでなく、水生生物にもその影響は及んでいる。こうした一般にはまだ知られていない隠れた課題の解決に向け、2021年に環境負荷の低い洗剤を使うハウスクリーニング業「エシカルノーマル」を立ち上げたのが本川氏だ。

本川氏はもともと新聞販売店を営んでいたが、地域を知り尽くす事業特性を生かし、30分500円であらゆる困りごとを解決する便利屋のサービスをスタート。その依頼の大半が家の清掃であったことから、ハウスクリーニング事業を本格的に立ち上げたという。だが劇物を使う仕事柄、現場の作業者はゴーグル、防毒マスクの重装備で作業をしなければならず、「リスクを負わせている状況に悶々としていた」という。ある時、車の窓からゴミを投げ捨てる人を見て腹を立てた際に「自分たちも、顧客の家の中をきれいにすることだけにとらわれて、環境に負荷を与える洗剤を使うことで外の世界を汚しているのではないか」とハッとさせられたという。嫌気がさし事業撤退まで考えたが「解決する側に回ってみては」という社員の言葉に後押しされ、同じような問題意識を持つ同業者、環境の専門家らと共にエシカルノーマルを創業した。

まず、心がけたのは「100点のエシカルを1,000人増やす」ことよりも「50点のエシカルを100万人に増やす」ことだった。環境に負荷を与えない重曹やクエン酸の使用に徹する選択肢もあったが、作業時間を要し、汚れも落ちにくいため結果的に顧客満足度を下げてしまう。そこで同社は、できるだけ環境に配慮した洗剤を独自に開発し、使用している。また、「環境負荷の低減」というメッセージだけではサービスの価値が十分に伝わらず、対価を払ってもらえない現実にも直面した。そこで、 健康被害へのリスクを前に出して発信するようにしたところ、アレルギーや化学物質過敏症などから子どもやペットを守りたいと考える人たちの琴線に触れ、共感者が増えていった。「まずは健康を入口にサービスを使ってもらう。その結果として環境負荷の低減につながればよいと考えています」。
目下のテーマは「50点、100万人」の数字を高め、広げていくこと。「50点を80点にするための商品開発を進める」一方、想いと技術を丁寧に伝えるため、1か月に1店舗のペースで広げてきたフランチャイズ店も全国27店にまで増えた。エシカルをノーマルにするための挑戦はこれからも続く。

代表取締役 本川 誠氏
(取材・文/山口裕史)

https://www.osaka-toprunner.jp/
◎エシカルノーマルの詳しいページは↓コチラ↓
https://www.osaka-toprunner.jp/project/ethical-normal/









