Bplatz press

歩くだけで異変をとらえるAI歩行分析という新しい診断アプローチ

2026.06.02

歩く姿を見るだけで病気の診断ができれば、どれほどの人が救われるだろうか。そんな夢のような未来の実現に取り組むのが、ヘルスケア・スタートアップの株式会社ayumo(アユモ)だ。2025年4月にAI歩行分析計「Dr Walkie Plus(ウォーキープラス)」を発売。カメラの前を歩くだけでAIがその動画を解析し、歩行スピードや歩幅の左右バランス、ひざ関節の可動域などのパラメータを計測する。その結果を基に、運動器の障がいによって移動機能が低下した状態を指す「ロコモティブシンドローム」のリスクを提示する。体にマーカーを付けて複数のカメラで撮影する装置は以前から存在するが、この製品はタブレット1台で場所を選ばず、マーカー装着などの準備も不要。数秒で結果を表示するなど、従来の歩容解析とは一線を画すものだ。

カメラの前を歩くだけで、AIが歩行データを解析する。

同社の設立は2023年。エンジニアから経営コンサルタントに転身した現CEOの桑田氏と、整形外科医で現CTOの森口氏の出会いがきっかけだった。当時、森口氏は大阪大学医学部で基盤技術の研究・開発をしており、その事業化に向けて経営者を探していた。当初、桑田氏はコンサルタントの立場から支援していたが、森口氏の課題解決への熱意に共感してCEOに就任した。

国内では高齢化の進展に伴い、歩行に困難や不安を抱える人が増加している。その原因は骨や筋肉の衰えにあると思われがちだが、歩行困難を引き起こす疾患には、整形外科系のものや脳神経系のものなど多岐にわたる。原因の特定は難しく、確定診断に至るまでにいくつもの診療科を受診し、多くの時間と労力を費やすケースも少なくない。回復の遅れは行動意欲の低下を招き、結果として認知症のリスクを高めるなど、二次的な問題につながる可能性もある。

歩行データを解析し、各種パラメータとリスクを可視化する診断結果画面。

同社の技術は、この課題に解決の道を拓くものだ。「昨年『歩行分析計Dr Walkie Plus』をリリースしましたが、これは医療機器の中でもクラス1(一般医療機器)に分類され、機能としては歩行関連パラメータの分析やロコモティブシンドロームのリスク評価に限られます。めざしているのは歩行困難の裏に潜む特定疾患の診断をサポートする診断支援機器の開発です。こちらはクラス2(管理医療機器)にあたるため、製品化に向けて今後治験が必要になります。最終的には医療機器と健康サポートを組み合わせ、予防から治療、回復までをトータルで支えていきたいと考えています」と桑田氏は構想を語る。

国内には約35万人の医師がいるとされるが、歩く姿から疾患を判別できる専門医は多くない。それをAIで補完し、非専門医でも精度の高い診断ができる環境を築くことで、誰もが自分の足で健康に歩き続けられる世界をめざすのが同社の夢だ。「生きている限り、誰もが歩行困難になるリスクを抱えています。しかし、その兆候が表れたときに迅速に原因を特定して適切な処置を行えば、原疾患によっては、症状の進行を抑えたり、状態の改善につなげたりすることができます。その実現に向けて、今後も開発を加速させていきます。また、歩行困難は世界共通の課題なので、まずは課題先進国の日本でしっかりと実績を築き、いずれは世界中の歩行の悩みを解決したいですね」。

代表取締役・CEO 桑田 佳幸氏

(取材・文/福希楽喜)
※掲載写真は、編集部にて撮影したもの以外に、取材先企業からご提供いただいた写真も含まれています。

 

ayumoも認定された【大阪トップランナー育成事業】とは

大阪トップランナー育成事業は、医療・介護・健康分野等において、新たな需要の創出が期待できる製品・サービスの事業化に向けてプロジェクトのブラッシュアップをサポート!さらに認定されたプロジェクトは、きめ細やかな個別支援を行い、市場化までを徹底的にサポートしています。
https://www.osaka-toprunner.jp/

◎ayumoの詳しいページは↓コチラ↓
https://www.osaka-toprunner.jp/project/ayumo

株式会社ayumo

代表取締役・CEO

桑田 佳幸氏

https://ayumo.ai

事業内容/AI歩行分析計、診断支援 機器等の開発・販売