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採血不要で血糖測定、生活習慣病予防に光明

2019.01.30

高齢化や生活習慣の変化に伴い糖尿病が疑われる患者が増えており、今やその数は1千万人を超える(厚生労働省の国民健康・栄養調査:2016年)。

いったん糖尿病になると治ることはなく、ひどくなれば失明を引き起こしたり、人工透析が必要になる。

病気の進行を防ぎ、最適な治療をするためには指先に針を刺す採血器具を使って行う血糖測定が日々欠かせないが、これも患者にとっては苦痛が伴う。

ライトタッチテクノロジーは、世界で初めて採血することなく糖の血中濃度を測ることのできる自己測定式血糖値センサーを開発した。

中赤外レーザーが発する特定の波長帯の光を血液中の糖(グルコース)が吸収する性質を生かして、その吸収度合から濃度を測定する仕組みだ。

測定法は指をセンサーに5秒間かざすだけ。数値はスマートフォンにすぐに転送され、血糖量の時間変化も容易にわかるため治療方針も立てやすくなる。

山川氏はもともと国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構の研究員として、近赤外レーザーで巨大な電力を生み出すレーザー研究の第一線を歩んできた。

だが、ある時、近赤外レーザーで血糖を測ることができるという論文が30年前に発表されていたことを知り、心が揺らぐ。

「基礎研究は実用化までに長い時間を要する。同じ研究でもすぐに社会に役立つことに携わりたいと思った」。そして4年前、研究テーマを切り替えた。

実はその論文が発表されて以降、近赤外レーザで血糖を測る試みは数多くなされてきたがどれも日の目を見ていなかった。

近赤外線領域ではグルコース以外にさまざまな物質も光を吸収してしまうことから、山川氏は中赤外レーザーを使い、グルコースのみ吸収することを可能にした。

同時に、新たなレーザー発振方法を開発することで従来の10億倍の輝度を持つ光を発生させることに成功。この成果によりグルコースだけを精度よく検出できるようにした。

当初、試作した時はティッシュボックス並みの大きさだったが、これを手で握れるサイズまでに小さくする開発を行っている。

「研究者はついつい100%を求めて積み上げてしまいがち。実用性で考えれば80%でいいから使いやすいものが求められるという意識の転換を迫られた」。現在は臨床試験中で2021年の製品化をめざす。

レーザーを変えればさまざまな波長の光を出すことができ、コレステロール値などの検出もできる。「さまざまな生活習慣病の予防にも貢献できれば」と技術がもたらす大きな可能性に思いをはせる。

代表取締役社長 山川考一氏


(取材・文/山口裕史)

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ライトタッチテクノロジー株式会社

代表取締役社長

山川 考一氏

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事業内容/非侵襲血糖値センサーの開発及び製造