約3年前、内視鏡検査を専門に行う医師から「音声認識技術を使って、検査中に所見入力ができないだろうか」という発案があった。検査中の医師は内視鏡機器の操作によって両手がふさがっていて所見を入力する作業を同時に行うことができないためだ。
そこで同社が開発したのが「ボイスキャプチャー」。音声入力マイクが、検査中に発する医師の言葉を無線でタブレットPCに飛ばし、検査終了とともに所見が完成する。「医師が所見を作成する負担を軽減するとともに、検査の効率性とプロセスチェックの向上にもつながる」。
医師によって所見で使う表現は異なる場合も多いが、システム内では統一された言葉で所見が構築されるため統計処理も容易に。
音声認識ソフトは単語の認識が得意なエンジンを採用。身体の部位、病名、性状など1,000以上の単語をあらかじめ辞書登録しておき、発せられた単語を認識して、自動的に所見用の文章が作成できるようにした。
完成したシステムを売り込むため、IT系の展示会に出展したが反響は大きくなかった。そこで内視鏡技師が集まる学会で発表したところ高い関心を集め、多くのアドバイスをもらうこともできた。
その後、「大腸検査用のシステムだけでなく胃カメラ用も開発してほしい」との要望が多かったことを受け、胃や食道など上部消化管版を追加して昨秋から発売した。
胃や食道など上部消化管の内視鏡検査では口や鼻から装置を挿入するため、患者の負担や苦痛を考慮する必要があり、今後は更にスムーズな所見入力ができるよう入力速度(音声の認識速度)の向上をめざしている。
病院は出入りの業者が固められている場合が多く、新規参入業者が入り込んでいくのが難しい世界だ。「まずは現場の医師にメリットを理解してもらい、医師自身から使いたいとリクエストしてもらうのが近道かもしれない」と今後のアプローチを練っている。
「同様のシステムは他の診療科でもニーズがあると考えられるほか、医療以外の分野でも応用できる。ボイスキャプチャーをさまざまな分野に広げていきたい」と期待をかける。
(文・写真/山口裕史)
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