空調コスト抑え、地球温暖化防止にも貢献
一般的なオフィスビルにおける電力消費の用途別割合で最も多いのが空調で48%を占める(資源エネルギー庁推計)。コスト削減の観点から空調にかかる電力消費量をいかに抑えるかが各事業所にとって大きなテーマだ。
HRが開発した「エコミラ」シリーズは室外機のコンプレッサにあるインバーターモータを制御し節電につなげる仕組みだ。「コンプレッサは、熱を運ぶ冷媒を細い管に強い圧力で送る。そのため空調電力の90%をここで消費するのでインバーターモータへの働きかけが最も大事」と網島氏は説く。
ポイントは「だらだら運転」をすることにある。これは2つの点で効果を持つ。従来の空調機器は設定温度の範囲内でモータのオンオフを繰り返すことで制御をしていた。
これに対しエコミラは、常にオンにしながら上、下限を設け緩やかに設定温度を達成する。「従来が100と0を行き来するのに対し、エコミラは70と30を行き来するイメージ。設定温度に達する時間は要するが、体感ではその差はほとんどわからない。0から100にするときの電力消費は特に大きく、これを抑えるだけでも効果は大きい」という。
もう一つは電気料金が決まる仕組みに着目した。年間の最大需要電力(デマンド値)をもとに翌年の電気料金が決まり、それが大きいほど高い料金契約になる。「従来のやり方だと100で決まるところを70で抑えられるためここでもメリットが出せる」。
網島氏はもともと大手自動車メーカーで半導体製造装置の設計を手掛けていた。厳密な温度管理が求められる半導体製造工場で空調機器の制御にかかわった経験を生かし、エコミラを開発、4年前に独立した。
だが、空調代節約ビジネスには多くの事業者が参入しており、明確な根拠が打ち出せなければ「門前払い」が当たり前。そこでまず試験導入してもらい効果が確認できてから採用してもらう手法で営業をかけた。
パチンコ店で採用された実績が業界誌に取り上げられるや、同業他社への導入事例が一気に増え、今では400店まで実績が増えた。日本冷凍空調設備工業連合会から省エネルギーセンター最優秀賞も受賞した。
「パチンコ店では換気のために1時間に室内8杯分の空気を入れ替えており、せっかく適温にした空気をむだにしている」との問題意識から、換気の頻度を室内の人数の状況に合わせ制御できる「エコミラ タイププラス」も新たに開発した。「地球温暖化防止にもつながることを訴えながら徐々に大型商業施設などに広げていきたい」と意気込む。
(取材・文/山口裕史)
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