大阪発!最新のMR技術×低価格で世界を変える
専用のゴーグルを装着することで、360°見渡す限り仮想の世界に没入することができるVR(仮想現実)技術。ゲームを中心に、随分と馴染みのある技術になってきた。
さらに、現実の空間に画像をはじめとした情報を付加するAR(拡張現実)技術も進化。位置情報を活用したゲームや観光案内など、こちらも普及が進んできている。
これらの技術のさらに先を行くのが、仮想世界と現実世界を融合させるMR(複合現実)技術だ。
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「だんグラ®」は、スマホがあれば公園でも自宅でもどこでも手軽にMRが楽しめるツールだ。
MR技術はその高度さゆえに、航空機や医療など、莫大な費用が投じられる産業を中心にして発展してきた。MRにとって必需品であるゴーグルも、1つあたり数十万円することも珍しくはなく、そのことが一般への普及を阻む要因にもなっている。
そこに革新をもたらしているのが、2018年夏に設立されたホログラム株式会社だ。同社が開発したMR用ゴーグル「だんグラ®」は、価格がなんと5,000円前後。従来では考えられなかったような価格を実現している。
一方で性能は、高価格製品に一歩も引けをとらないハイレベルさ。大手家電メーカーでレンズ開発に長年携わった技術者やウェアラブルデバイスの研究に取り組む大学教授などの助言を得ながら、ゴーグルの“キモ”であるレンズ設計に心血を注ぎ、「先端技術×低価格」を実現させた。
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安価で軽量なダンボール素材に独自開発のWWMRレンズ、ハーフミラー、ミラーを組み合わせた筐体で、臨場感あふれるXR(AR/MR/VR)コンテンツが体験できる“ダンボール型MRグラス”「だんグラ®」。
想定しているのは、建築現場や工場などでの活用だ。作業中に機械の操作方法や図面が表示されるなど、これらの場面ではMRの強みが発揮されやすい。一方で、汚れや傷などが心配で、高額なゴーグルの投入は難しいという課題も。
「これを解決するのがだんグラ®や現在開発中のホログラス(仮称)、そして開発者支援のためのプラットフォーム『HologlaSDK』です。作業性を大きく向上させるMR技術が低価格で利用できるようになれば、普及は一気に進むと考えています」(橋口氏)。
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XR(AR/MR/VR)分野へ参入する企業・個人をハードウェア、ソフトウェア両面からサポートできるのが同社の特長。「だんグラ®」の設計はもちろん、開発者向けのソフトウェア開発キット、教育向けのコンテンツ、エンタメアプリの開発などを手掛ける。
同社では現在、だんグラ®の販売、MRソフトウェアの販売、MR技術を用いたソフトウェアの受託開発という、3つを事業の柱にしている。
また、子どもたちにMR技術を体験してもらう機会の提供にも注力している。ここには、MR技術の面白さに触れた子どもたちがエンジニアの道に進み、産業界のさまざまな場面でMR技術の導入や発展に関わっていってほしいという願いがある。
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左からFounder 橋口和矢氏、President 山地直彰氏、Director 長者原亨氏
「先端技術の発信は、どうしても東京からになりがちです。そんな潮流に対して、『大阪からも面白いことを!』という意気込みで集まったエンジニアのムーブメントが、当社の根底にあります。幸いにも、2025年の大阪・関西万博ではVRをはじめとした映像技術がフィーチャーされています。これをチャンスに、大阪発のMR技術を世界に発信していきたいです」。
(取材・文/松本守永)
ホログラム株式会社
President 山地 直彰氏
Director 長者原 亨氏
Founder 橋口 和矢氏
事業内容/MR分野の各種製品・アプリの企画、開発、製造、販売