廃棄予定の雑木がBBQ用木炭に生まれ変わる

アウトドア事業を全国に展開するスタンドケイ。バーベキュー(BBQ)機材や食材の配達のみならず、会場設営や炭の火起こしまで対応し、個人はもちろん企業からも選ばれてきた。現在は公園や商業施設からの依頼を受けて、BBQ場の管理運営も行う。

BBQ事業の他にイチゴ農園の運営にも力を入れている。

そんな同社が開発したのがBBQ用の炭「LOHASumi」。開発の契機となったのは平成30年7月の西日本豪雨。ボランティアとして出向いた被災地で、日本の林業に関する問題を目の当たりにしたことだった。「山間の美しい町が土砂に覆われ、まるで色を失ったかのようで。山の荒廃が災害に繋がることは知っていたけれど、目の前の景色とつながって、大きな衝撃を受けました」。

手入れされずに放置された森林は木々の枝葉が重なり、地面に日光が届かなくなる。樹の根づきが悪くなり、大雨が降ると土ごと一気に流れ出て災害につながる。計画的に伐採し、材木としての利用ができればよいが、安い輸入木材には太刀打ちできず、林業の担い手は常に不足している。

自然から恩恵を受ける自分たちの事業で何か貢献できないか。そこで思いついたのが、使われない木材を再利用したBBQ用の炭。SNSで呼びかけて炭の製造会社と出会い、商品化に向けて動き始めた。炭は、浸水した家屋に置いておくだけでカビ防止になるほどの高い吸湿力を持ち、木材の状態を選ばず加工できる柔軟さがある。災害で発生した瓦礫さえも原料にでき、加工時の熱エネルギーを電力に変換する研究も進む“エコロジー優等生”。その特性を知るほど、製品化への意義を確信した。

炭職人の手で完全に炭化させているため、煙の少なさもメリット。

「LOHASumi」の原料は、剪定で発生した雑木。産業廃棄物として処分せず、炭にすることで有効活用する。輸入する方が安い、手間と収入が見合わないなど、経済合理性を優先するあまり、生まれた多くの歪み。廃棄物を「資源」と捉え直すことで、新たな好循環を生み出す。

未来への希望や日々の笑顔を生み出す一助になりたい。その想いの原点は名倉氏が18歳の頃まで遡る。父が脳梗塞で倒れ、四肢麻痺になった。「それまで仕事に打ち込んでいた父が、ほとんど動けなくなってしまって。しかし、病気の後、旧友との交流が増え、障がい者施設や看護学校での講演を行うようになった。資本主義の中で生み出す価値は減ったかもしれないけれど、それだけで豊かさは測れないことを知りました」。

アウトドア事業という基盤のもと、森林保全や廃棄物削減に取り組む同社。今後もサーキュラーエコノミー(循環型経済)の一翼を力強く担っていく。

代表取締役 名倉昂佑氏

(取材・文/北浦あかね)

2021年12月07日
株式会社スタンドケイ
代表取締役  
名倉 昂佑氏
事業内容/BBQ場の管理運営・機材レンタル、WEBサービス、 アグリ事業

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