VR/AR技術×チャレンジ精神を武器に世界へ!
子どもの頃からポップカルチャーなどを通じ日本に好意を抱いていたというドイツ出身のクリヘンバウア氏。
オーストリアの大学に進学後、インターンシップ先として真っ先に選んだのが日本。2010年に来日した。「温かみのある大阪をすぐに好きになりましたね」。
その後ドイツに戻りVFXなどを手掛けるCG制作会社に一度は就職したが、再び来日。奈良先端科学技術大学院大学で仮想現実(VR)などを学び、在学中に大阪で起業した。
クリヘンバウア氏は、世界的シェアを持つ3DCGの制作ソフトウェア『Maya』のプラグイン『MARUI』を開発。2016年に法人化し、株式会社MARUI-PlugInを立ち上げた。
『MARUI』の特徴は、VR/ARによる作業効率化。これまでのマウスやキーボード、PCモニターを使用した二次元的な制作手法に対し、VR技術を活用して直感的で三次元的な制作手法を実現。
エンジニアやクリエイターは、より自分の専門領域に集中することができ、最大50%の作業効率アップに繋がるという画期的なプロダクトだ。
現在、アニメやゲームといったエンターテインメント業界での導入が進んでおり、興味を持った海外クリエイターなどからの問い合わせが増加。「将来的に自動車の設計や建築のデザインに応用することもできます。多岐にわたる業界で使われる可能性が広がっていると思います」。
目下の課題は、『MARUI』を駆使するために必要不可欠な、PCで使用できる高性能ヘッドマウントディスプレイ(HMD)の普及。
中でも、日本での普及率は低い。さらに、今活躍しているエンジニアやクリエイターは、既存のワークフローに慣れており、3次元的なワークフローに切り替える研修期間が必要なことも課題のひとつだという。
しかし、Oculus(オキュラス)などの高性能HMDの普及率は世界的に上がりつつあり、徐々に現場に浸透中。同社に追い風が吹いている。
また、同社はSNSを通じたPRも積極的に展開。実際に『MARUI』を体験したクリエイターたちからは、「使いやすく、作業効率の大幅なアップに繋がる」と評判は上々だという。
「多くの人がクリエイティブ業務に専念できるようにサポートしたい。プロはより高いクオリティの作品を創ることができ、アマチュアの方にも使いやすいプロダクトになれば」。
さらに「将来の夢は、“頭の中で思い浮かんだイメージを、すぐに具現化できるようなプロダクト”です。VR/AR技術のみならず、AI技術を使ったプロダクトの開発にも挑戦したい」。
大阪から世界へ。チャレンジは続きそうだ。
>>>大阪で起業するメリット
全てにおいて物価が安いので、初期費用を抑え継続的に事業を続けられる。
>>>大阪で起業するデメリット
日本語での手続きの煩雑さ。書類業務はプロに任せ自分の業務に専念した方が効率的!
(取材・文/仲西俊光 写真/掛川マサヤ)