2度の出産を経て、ゲンバの魅力を伝え続ける
工業高校時代、山田製作所のインターンシップに参加し、きれいにできあがっていく溶接作業と、会社の明るい雰囲気に触れ、「ここで働きたい」と直談判して入社を決めた冨尾氏。入社後は、溶接や板金などひと通りの現場作業を担当した後、資材管理や広報の仕事に軸足を移していった。
2019年11月に結婚しその後2人の子どもを出産。いずれも臨月まで働き、1歳になった時に復帰をした。「子どもが熱を出した時もいつでも迎えに行けるようにしてもらうなど、働きやすい環境を整えてくれているので、皆さんに感謝している」という。
主担当は広報だが、製造部門が忙しくなれば現場を手伝い、2tトラックに乗って納品にも出かけ、「現場だけでなくトラックに乗りたいという夢もかなった」と喜ぶ。
そして現在注力するのがInstagramを使った情報発信だ。ものづくりのカッコよさだけでなく、休憩時間中の社員の笑顔、整理整頓された工場内の様子などをつぶさに伝える。7月中旬に、過去に自身が溶接作業をしている動画をアップしたところ、2.1万回再生とバズった。
「女性がものづくりの現場で働いていることに対する驚きで多くの方に見ていただいたと思うが、それを当たり前にしたい」とゲンバ女子がさらに増えることを待ち望んでいる。
(取材・文/山口裕史 写真/福永浩二)
◉社長のコメント
男性だけしかいなかった現場に、冨尾さんが入社してくれたおかげで多くのことに気づかされました。他の社員が苦労していた難しい溶接を一発でこなし、ひたむきで笑顔が絶えない冨尾さんがいることで現場が明るくなりましたね。そういう冨尾さんだからこそ、困っている時は周囲も支えてくれるのだと思います。出産から復帰後、子どもの体調不良で保育園に預けられない時などには、事務所で預かったこともありました。ゲンバ女子にも働きたいと思ってもらえるような新工場の建設が目標です。
◉ゲンバ女子取材当時の記事(2017年8月)
https://genbadanshi.jp/archives/8943