ペット用品の独自ブランドOurs(アワーズ)の展開や、オフィス用品などを開発、販売する株式会社松三製作所。
電子機器周辺に使用されている精密板金加工など、企業への部品供給を担ってきた技術を活かし、BtoCの領域に挑戦中の町工場だ。既に阿倍野区の商業施設『あべのand』に実店舗を持つと共に、ネット通販にも注力。
“BtoBからBtoCに挑戦する町工場”は増加しているが、実店舗の運営にまで事業を拡大し、ブランドの認知度を高めている事例はめずらしい。
フードボウルやトイレトレーなど、錆びにくく清掃もしやすい頑丈なペット用品。
5年ほど前、オフィス用品を自社で開発し、路面店で販売をスタートさせた。店舗前が公園で、犬の散歩が多いことに着想を得てペット用品を開発。それが独自ブランドOursに繋がった。
メイドインジャパンの“ちょっと高価だが、頑丈で清潔さを保ち、ずっと使える”という高品質さが売り。「スタイリッシュなデザインや10種類にもわたるカラフルな商品ラインナップも取り揃えることで、好評を得ています」と、垣端氏は力強く語る。
インテリア雑貨の種類も豊富だ。
路面店での手応えを感じた同社は、商業施設『あべのand』に進出。スタート時から比較すると、売上げは6倍に伸びた。しかし、同社にとってはまだまだ通過点だと言う。
「今、力を注いでいるのは店舗開発。まず『あべのand店』の収益を今年さらにアップ。その成功事例を元に、来年には全国に進出をめざします」。
店舗運営のノウハウを積み、全国展開へ。
今では、大手ECモールで“カテゴリー内1位”にランキングするほどの人気ブランドに成長したOursだが、出だしから順風満帆では無かった。ショッピングモールに“扱って欲しい”と出向いても、断られるケースがほとんどだったという。
しかし、ブランドが育ち、知名度も上がった今では「出店しませんか?と誘われるようになりましたね」と、垣端氏は笑顔を見せる。
新商品の企画を手掛けるのは、垣端氏と開発担当者の2名。1日1回は垣端氏が店舗に顔を出して、陣頭指揮を取る。開発も店舗運営も外注せず“自前主義”を貫く。
開発には“カイゼン”のノウハウが活きる。
同社が自社ブランドに注力する理由はさまざまあるが、“社員のステータスを向上させるため”との想いが強い。
「『私たちの職場は、もう一つの家庭であり、人生そのものである』というのが経営理念。自社ブランドが全国に浸透することで、従業員が当社の名前を出した時、友達や家族から“あ、ペットやオフィス用品の会社だね!”とすぐに認知してもらえるようになれば」。
町工場発の飽くなき挑戦は、まだまだ続く。
代表取締役 垣端健吾氏
(取材・文/仲西俊光)
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