グラファイトはパウダー状で使用するものという「常識」から脱皮することで、銅の4倍、1700W/mkという驚異の熱伝導率を誇る人造グラファイト部材の製品化に成功したのが、2009年創業の株式会社サーモグラフィティクスだ。
粉体ではミクロの異物混入が免れず、高精度な産業ニーズに対応できなかったが、プレート状のグラファイトを複合加工することで、限りない発展性を秘めた超高熱伝導素材「コンポロイド」を開発。
その決め手となったのが、金属、樹脂、セラミックといった相手素材との接合ノウハウで、これにより固形グラファイトの脆さが同時に克服された。
グラファイトを芯材にし表面に金属を接合することで、たとえばアルミを使っていた従来の生産ラインはそのままに、約8倍の高熱伝導性を備えたパーツの生産が可能になる。
また、セラミックを接合すれば優れた絶縁性と熱伝導性を両立させたものづくりができる。薄さ・軽さ・強度を追求するなら樹脂との接合が有力だ。
「ハイブリッド化、EV化が進む自動車は、走る集積回路のような存在になり、軽量小型の半導体放熱素材が必須です。また、通信インフラが5Gになればインターネット、スマートフォンの背後にある巨大なデータセンターに高熱伝導体は欠かせません。われわれの技術が時代に合ってきました」と竹馬氏。
航空宇宙開発分野や大手電機メーカーからもコンタクトがあるという。
代表取締役 竹馬 克洋氏
竹馬氏はじめ同社の社員はすべてが前職で大企業の技術部門で研鑽を積んできた経験者。コンポロイド・シリーズの量産はアウトソーシングが中心だが、すべての製品を自作できる設備は同社内に設置されている。
「生産丸投げのファブレスではなく、うちは軽装備のファブライトですね」と竹馬氏が言うように、自分たちの手を動かすものづくりのスタイルはしっかり守られている。
とはいえ、技術至上主義に走らないのが同社の基本スタンス。社会を俯瞰しながら自社技術をマッチングさせるニーズに常にアンテナを張ることを怠らない。「技術だけを追い求めていると、時代の動きに気づけなくなる。そうならないように心がけています」。
最先端素材開発力にマーケティング思考をコンポジットし、同社は次世代のR&D(研究開発)ヒーローへの道を力強く歩んでいる。
(取材・文/山蔭ヒラク)
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