《講演録》「タニタ社員食堂」誕生のワケに迫る、世代交代のビジネスチャンス
>>> 広告には投資しない。広報で事業宣伝を。
広告を出さなくても、新聞社が記事にしてくれる。それが続々と他の新聞や週刊誌などマスコミに取り上げられるという仕組みで自然と知られるようになっていきました。また、研究所を作って栄養教育をしたのも週刊誌にダイエット特集として取り上げられ、宣伝はほとんどせずとも、毎週どこかの週刊誌で取り上げられる状況になりました。これは、タニタの取り組みが新しいものであったり、商品がオンリーワンであったからだと思います。
2004年に創業60周年を迎え、世の中で一番健康を気にしている人を表彰するタニタ健康大賞を企画しました。第1回は、NHKの「ラジオ体操」を表彰しました。当日の式典では、会場の皆さんとラジオ体操をしました。NHKさんに大変喜んでいただき、その後「タニタの社員食堂」という1時間番組が放送されました。NHKの後に民放各局が続き、その後出版社から声がかかり本にしたというのが「タニタの社員食堂」が有名になった流れです。
>>> 世代交代は事業戦略をきちんと話し合い理解し合うこと
最後に。世代交代は、ポジションを譲ったら、他の仕事をしながらであったり、地域活動などしながら、少し離れた場所から、後継者のやることを見守るのがいいのではないかと思います。自分の経験からは、細かいことはあまり言わず、会社の方向性が大きくずれないように、事業戦略をきちんと話し合えていたらいいと思います。
引き継ぐ方は、今までと同じことだけをやっていっても、良い時代は来ません。新しい取り組みをぜひやっていってほしいと思います。譲る方が思うように後継者がやってくれるかと言ったら、絶対にそうはなりません。その辺りは覚悟したうえで世代交代を進めていっていただきたいと思います。
(文/石嶋瑞穂)
谷田 大輔氏(株式会社タニタ 前代表取締役社長)
1966年 株式会社谷田製作所(現:株式会社タニタ)に入社。1985年 取締役開発部長等の要職を経て、代表取締役社長に就任。世界初の家庭用体脂肪計・体組成計を開発・販売し、赤字状態だった同社を、ヘルスメーター売上世界有数の企業へと成長させた。在任中は海外主要国にて会社設立、代表も経験。タニタ総合研究所の所長も務めた。