《講演録》「共感」のチカラで、苦境を乗り切れ 〜味方をつくる共感経営とプレゼンの極意~
《講演録》2020年11月24日(火)開催
【トークライブ!】「共感」のチカラで、苦境を乗り切れ 〜味方をつくる共感経営とプレゼンの極意~
話し手:三輪 開人氏(NPO法人e-Education 代表)
聞き手:山崎 大祐氏(株式会社マザーハウス 取締役副社長)
コロナ禍で厳しさが増すビジネス環境。今回は、この逆境を乗り越えるために重要な要素とされる「共感」を集める経営とプレゼンの極意に迫る。ゲストスピーカーは、「最高の授業を世界の果てまで届けよう」をミッションに掲げ、国際協力分野で注目されるNPO法人e-Education代表 三輪開人氏。聞き手は、株式会社マザーハウス代表取締役副社長 山崎大祐氏。経営者同士だからこそ聞ける、話せる「共感経営」について掘り下げる。
【第一部】経営者がもつべき、逆境に立ち向かう「情熱」と「冷静」
◉ミッションは、最高の授業を世界の果てまで届けること
僕たちは、最高の授業を世界の果てまで届ける挑戦をしています。大学時代にインターンとして訪れたバングラデシュで、創業者の税所篤快とマヒンという現地の大学生に出会ったことが、e-Education創業のきっかけです。
アジア最貧国バングラデシュの農村部には、家族のためにいい仕事に就きたいと、大学進学をめざして一生懸命勉強する高校生たちがいました。しかし、その学習環境はとても厳しいものでした。
そこで思いついたのが、東進ハイスクールのDVD授業。学生アルバイトとして、林修先生のアシスタントをした経験から、バングラデシュでも映像授業ができないかと考えたのです。
僕は、現地都市部の予備校で見つけたカリスマ講師と一緒にDVD授業を制作し、彼らに届けました。
その結果、初年度に国立大学No.1のダッカ大学に1人が合格。2010年から10年連続でダッカ大学への進学者を輩出。250人以上が難関国立大学へ進学するという快挙を遂げました。2019年には、僕たちの活動は十数カ国に拡大し、途上国の子どもたち3万人以上に映像教育を届けました。
◉企業と共創することで、世界中の社会課題を解決する
2011年の台風で壊滅的な被害にあったフィリピンのミンダナオ島には、貧しさのために未来を奪われた大勢の子どもたちがいました。
先生も教材も足りないなかで映像教育が使えると思いましたが、すべての課題を解決するのは難しい状況。
そこで、大阪の新興出版社 啓林館さんに協力をあおぎ、日本の算数教育を現地の先生と教材にまとめ、映像化して届けました。すると半年後には、島の子どもたちの成績が大幅に向上。現在は、フィリピン全土に教材を展開する準備をしています。
ここで大事なことが2つ。
世界中に課題があること。そして、その課題は日本の技術で解決できるということです。
カシオさんの2018年のCSR報告書、NTTコミュニケーションさんの2019年のCSR報告書のトップ記事にe-Educationとの協働プロジェクトが掲載されました。企業との共創によって、世界の課題を解決できることに手応えを感じています。
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