《講演録》「共感」のチカラで、苦境を乗り切れ 〜味方をつくる共感経営とプレゼンの極意~
[三輪氏×山崎氏 対談]
◉経営に共感のチカラを活かす―仲間を集めるため、組織をまとめるために
山崎:社員が会社を辞める理由っていろいろですが、実は人生で大切にしている価値感のズレだったりしませんか。
三輪:NPOの場合、ビジョンやミッションに共感して入ってくる人が多いんですが、辞めるときは人に共感できなくて辞めることが多い。その人をとりまく仕事以外の部分も知らないと、共感はつくれないのかなと思います。
山崎:私は企業とはスキルの集合体・機能体であるとともに、生活文化のコミュニティ体だと考えています。だから、採用の最終面接にはすべて参加して、人生観を問うような面接をします。
三輪:実は最近、一般募集から紹介ベースの採用に切り替えました。会社以外のことをシェアできる、信頼できる人と仕事をするのは心地いいと感じています。
山崎:共感を生むために、仕事や評価につながらないテーマで勉強会をするのもいいですね。
三輪:情報量の差で生まれる経営者と最前線で働く若い人とのギャップを埋めるため、自分主催の勉強会を週1で3カ月続けたんですが、目線と心の温度が揃いつつあります。
山崎:ほかにも共感を生むために行なっている手法はありますか。
三輪:僕がひたすら部下の話を聞く「1 to 1ミーティング」をはじめましたが、一人ひとりのいろんなことが見えてくると同時に、接点を増やすこともできます。経営者は仲間を集め、組織をまとめるために、共感を生む行動を自らとる必要があると思っています。
(文/花谷知子)
三輪 開人氏(NPO法人e-Education 代表)
1986年生まれ。早稲田大学法学部在学中に、同大学の後輩とともにNPO法人e-Educationの前身を設立。大学卒業後は、JICA(国際協力機構)で東南アジア・大洋州の教育案件を担当。2013年10月に退職し、e-Educationの活動に専念。2014年7月に同団体の代表へ就任。バングラデシュをはじめとした途上国14カ国で3万人の中高生へ映像授業を届けてきた。2016年、アメリカの経済誌「Forbes」のアジアを牽引する若手リーダー「Forbes 30 under 30 Asia」に選出。2017年にはプレゼンの天下一武道会と呼ばれる「ICC FUKUOKA」の「第一回カタパルト・グランプリ」で優勝。以後、全国から講演やセミナーの依頼が殺到。大手企業の経営者から大学生まで幅広い層の「話し方」の改善に貢献している。NHKドキュメンタリー番組『明日世界が終わるとしても』などメディア出演多数。
山崎 大祐氏(株式会社マザーハウス 代表取締役副社長)
1980年東京生まれ。慶應義塾大学在学中にベトナムでストリートチルドレンのドキュメンタリーを撮影したことをきっかけに、途上国の貧困・開発問題に興味を持ち始める。2003年3月大学卒業後、ゴールドマン・サックス証券にエコノミストとして入社。創業前から関わってきた株式会社マザーハウスの経営への参画を決意し、2007年7月に取締役副社長に就任。2019年3月から代表取締役副社長。副社長として、マーケティング・生産両サイドを管理、年間の半分は途上国を中心に海外を飛び回っている。マザーハウスカレッジ代表、朝の情報番組「グッとラック」(TBS系列)の金曜日のコメンテーターも務める。