衣料の「吸水速乾」を支えています
軽量化や保温性の向上などアウトドアウエアの進化が著しい。中でもポリエステル製のインナーウエアで快適な着心地を保つのに欠かせない吸水速乾性を陰で支えているのが高松油脂の技術だ。
同社が強みを持つのはポリエステル樹脂の変性及び水分散化技術である。この水分散体をポリエステル繊維に処理する事で、水を弾く性質を持つポリエステル繊維に吸水性を付与することができる。
この技術においては国内のパイオニアで、顧客である紡績メーカーから高い評価を得ている。
ポリエステル樹脂の水分散体を扱う競合メーカーは多いが、40年来の技術開発の蓄積を生かし、常に先頭を走り続けている同社。その一つが独自のアクリル複合化技術や粒子をナノレベルにまで細かくする技術により、水分散体の機能をさらに向上させることだ。
また、繊維以外の分野も強化しており、フィルムに塗布することで耐水性のある防曇(どん)性を発現するコート剤、紙に塗布することでインクの定着性や鮮明度を高めるコート剤などを上市している。
「水分散体は、有害な有機溶剤を使わずに分散させるので環境負荷も低い」と高橋氏はメリットを強調する。
今回「機能性繊維フェア2018」に出展する同社が出品する商品の一つが、泥汚れ除去効果に特化した加工剤だ。
泥と繊維はもともとお互いに電気的に結合しやすい性質を持っているために泥が落ちにくい原因を作っているが、帯電性を防ぐ機能を持たせることで電気的に反発させることができる。
また、吸水性を付与することで繊維と汚れの間に水が入りこむのを助け、泥を落としやすくするという。
もう一つはフッ素と同等の撥水性を発現する非フッ素系撥水剤。国内外の大手アパレルメーカーが、有害性を指摘されているフッ素系撥水剤の使用を縮小する動きに応えて開発した。
同社ではフッ素の代わりに特殊ワックスを使用し、独自のアクリル変性技術と組み合わせることでフッ素並みの撥水性を実現した。
「当社の持つ水分散体技術はさまざまな素材に親水性、印刷性、耐溶剤性などの機能を加えることができる。医療、電池、自動車などこれまで当社が提案できていない分野にも広げていきたい」。
(取材・文/山口裕史)
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