よそとちゃうことせなあかん!好奇心で発想力を磨く
昭和5年、アルミ箔の裁断からスタートした木村アルミ箔。「よそとちゃうことせなあかん」という家訓のもと、常に新しいものを取り入れてきた。創業から数年後には単純な裁断加工から転換し、金型を使ったアルミ箔製の料理カップを生産するように。そんなある日、製造現場の職人が辞めてしまう。
「これでは仕事が立ち行かない。そこで、現場のパートさんたちに素直に教えを請うことにしました。パートさんたちは作業の内容を一番良く知っている。彼女たちと共生することで、会社自身も成長してきたんです」と木村氏。意識を変える「気づきと職場環境」を与えられることで、人はどんどん変化し成長する。その風土は今も受け継がれ、若手に重要な仕事を任せたり、パートから正社員、役職者へと登用される例も多い。
平成に入るとフィルム製の料理カップを開発。お弁当などをカラフルに演出する付加価値の高いカップの誕生だ。この製品のヒットをきっかけに会社の認知度が上がり、より一層、安全で高品質、しっかりとした生産体制が求められるようになった。
「それがISO9001、ISO22000の認証取得へとつながっていきました。どんな仕組みやルールをつくっても、社員たちがその気にならなければ浸透しない。マニュアルづくりから社員に任せることで、自発的に動く社内の空気が醸成されました」。
現在、コンビニ弁当用フィルムケースの国内シェアは6割。その傍ら、海苔や昆布でできた「食べられる料理カップ」など、次々と「よそとちゃう製品」を形にしている。「真似されてもええんです。また次の手を考えれば。これからも社員たちと共に、新感覚的な『よそとちゃうこと』をやり続けていきまっせ!」。
紙面では紹介しきれなかったロングインタビューはコチラ
「よそとちゃうこと」で次の一手 「社員が自分で考える風土」を
https://bplatz.sansokan.jp/archives/3077
関西学院大学 経済学部 2回生 白羽 将さん
木村社長は、第一印象からとても温かい雰囲気の方でした。社員を労働力としてみるのではなく、「一人の人間として成長させるための人材教育」と仰っていたことや、女性社員を大切にされていることが印象的でした。興味があることは何でも実践していくという社長の積極的な姿勢が、社員や社内の元気につながり、結果的に業績につながっているんですね。
(取材・文/北浦あかね 写真/福永浩二)