世界で愛される日本発木製リコーダー
創業は昭和28年。先代が紡績用の木製ボビンの製造を始め、昭和36年から木製リコーダーの製作を開始。当時、国内に木製リコーダーを学校向けに製造する企業はなく、楽器商社からの依頼がきっかけだ。リコーダー製造用の機械を開発し、先代が生産体制を構築。最盛期は月200~300本の量産を行った。
代表の竹山宏之氏は家業を継ぐかどうか迷っていた時、米国ボストンの著名な木製リコーダー製作家のもとを訪れたという。「月5本を手作業で丁寧につくりこむ姿を見て、自分もこんなものづくりがしたい」とこの道を選ぶ。
昭和60年頃には少子化により、教育機関からの需要減少もあり、オリジナルのリコーダー製作へと舵を切る。追及したのは音を聞きながら緻密な手作業によって実現する全体の音のバランス。製造工程は60にも及ぶ。
300~400年前の名器の構造を分析し、約2年を経て完成した自信作を手に精力的に海外の展示会へ出展。イギリスのディーラーの目に留まり、取引につながったのがきっかけとなり、現在では日本発のタケヤマ製オリジナル木製リコーダーは世界中で活躍するプロの演奏家や愛好家から絶大な支持を得ている。
また、2013年には世界各国のリコーダー奏者、製作家の交流の場として「Asian Recorder Festival」を開催した。「リコーダーのためにつくられた曲は多く、ジャズや童謡などいろいろな楽しみ方がある。国内外で奏者が増えれば需要も高まり、製作家も増える。さまざまな技術が結集した楽器を次世代へつなげていきたい」と普及活動への想いは熱い。
(取材・文/三枝ゆり)
竹山木管楽器製作所
竹山 宏之氏
http://www.takeyama-recorder.jp/
設立/1953年 従業員数/7名
事業内容/木製リコーダーの開発・製造・販売。直営の専門店「アンリュウ リコーダーギャラリー」で音楽イベントや教室を開催し、普及活動も積極的に行う。